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「お疲れ様でーす」
志「お疲れ様ですー」
コンビ揃っての入室。楽屋はまたざわざわと心地よい騒がしさで。
無意識に探してしまったのはリリーさんだった。
リ「珍しいな、志摩と一緒か」
「迎えに来てくれたんで」
志「こいつ俺おらな今日寂しくて行かれへんかったと思ったんでね」
「アホ抜かせ」
リリーさんは案外何も思っていなさそうな、いつも通りのすまし顔だった。
志摩ちゃんが居なきゃ、今日は乗り越えれない気がする。
「リリーさん、今日この後空いてます？」
リ「空いとるで」
「じゃあ、ご飯行きましょ」
リ「Aの家やったらあかん？」
昨晩見たその目にすこしたじろぐ。周りは何も気にせず話しているのに、何も聞こえなくて。
志「俺今日Aに俺ん家の家電あげよう思てるんで、リリーさんとの飯の後行く予定なんです」
リ「そうなん？じゃあ家まで俺送ろか？」
志「いや、悪いんでうちのポンコツ回収行きますわ」
「ぽんこつ」
志「ぽんこつ」
志摩ちゃんはそうありもしない話を持ちかけてくる。
多分回収には来てくれるんだろうけども、家電なんかケチな志摩ちゃんがくれるわけない。
「あ、うちらもうそろそろ準備しよか。ほな失礼します」
リ「頑張れよ」
志「ありがとうございます♡」
リ「お前に言うてへん！」
志摩ちゃんとリリーさんの変なボケとツッコミに苦笑いしつつ袖に向かう。
「なあ」
志「なに」
「ほんまに家電くれんの？」
志「なんか欲しいわけ？」
「くれるならもろとこかなって」
志「レンジ」
「はい？」
志「電子レンジやる。あとほんまにリリーさんの飯の後は迎え行くから連絡入れとけ」
なに、今までの好感度ぶち戻すみたいに。なんて思ったけど、素直にありがとうと返した。
「頑張ろな」
志「言われんでも」
出囃子が鳴る。公私混同してる場合やないから。
志「どもー」
「どうもー、志摩と私で」
終わったら体調悪なりそうや。と少し口角は上げたまま、舞台に立った。
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作者名：伊藤 | 作成日時：2021年4月8日 4時
