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「え、お泊まりセットとか」
リ「いらんやろ。てか買ってきてるしAの家デカめの服あると思っててんけど」
「いや、あるけど！自慢げにセブンのパンツ見せやんといてください！」
大きめの服がある、と伝えると嬉しそうにパンツを天高く掲げるリリーさんは酔っているのか狂っているのか検討つかずだ。
はあ、と飲み物を取りに行こうとすると腕を掴まれる。
リ「どこ行くん」
「冷蔵庫にカルピス取りに行こうかなーって」
リ「あー、そう」
「なんなんですか」
平常心をつくろうことがこんなにも大変だとは思わなかった。
いや、これ確実に惹かれてる。そう確信するのに時間は要らなかった。
リ「女の子やねんから先風呂入りや」
「いやですよ、リリーさんの前に入ったら風呂の水すすりそう」
リ「そんなモリシみたいなことしやんけどな」
「まって盛山さん信じてたのに」
女の子の扱い方がなれているようで、少し反抗したくて。
私だけじゃないんだろうなあ、この想いも私だけなんだろうなあ。なんて柄にもなく。
「まずまず、客はリリーさんなんですから。
はよ入ってきてください。湯冷めますよ」
リ「そう？じゃあお言葉に甘えて」
扉が閉まったのを確認して、そこらにあったクッションに顔をうずめる。
なんてこったい。想い人と同じ部屋だ。どんな青春だよ。なんて。
「‥ネタ考えよ」
志麻ちゃんとの関係はあまり良くないけど、同じようなネタをするのは気が引ける。せめてものあがきというやつで、ネタ帳とにらめっこをする。
でも、リリーさんがいる状況でそんなことできる訳もなく。「あーーー、、」と声を出してみるも空回り。
リ「何してんの」
「早」
リ「シャンプーAと同じの使っていいん？」
「あ、そっか。いいですよ、全部同じで」
リ「マジ？俺明日Aと同じ匂いするやん」
「嫌なら買ってきましょか？」
リ「今のは嬉しいって意味やってんけどな」
そう笑いながら軽く濡れた髪をタオルドライしながらまた風呂に戻るリリーさんは不覚にもイケメン、の類だった。
‥‥気がする。
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作者名：伊藤 | 作成日時：2021年4月8日 4時
