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たこ焼きを持って楽屋に帰る。盛山さんは出迎えてくれるけど、志摩ちゃんは知らんぷり。
ああ、やらかしてもうたなあ、なんて。
盛「リリーになんも変なことされてへんか？」
リ「してへんわ。なんやったら俺がされたもん」
盛「くねくねすな」
はは、と軽く笑顔だけ繕っておく。
なんだか、なにもできそうになくて、不甲斐なくて。
盛「A、ちょっと来てや」
河「なんやA、今日は見取り図にモテモテやな」
「ほんまですわ、取り合いはじまっとったりして」
リ「あほか」
そんな私を見かねたゆず兄が私に声をかける。
優しいなあ、あなたたちが居なきゃ、わたしってば
盛「志摩となんかあったやろ」
「それリリーさんにも言われましたわ」
盛「誰が見ても一目瞭然やねんからしゃあない。
で、何？もしかして東京行こう言うたやつか」
「なんで知ってるんですか」
盛「聞こえてしもたんや、ごめんやで」
全く、と悪態をついてやりたいところだがそんなことできる余裕もないし、
そんなことより一目瞭然なほど険悪なムードを出してしまった方が申し訳なくて何も歯が立たなかった。
「すみません、なんか」
盛「謝ることあらへんがな。ま、Aの気持ちもあんねんから。
嫌やと思ったんやったらもう無理せんと」
「‥‥はい」
盛「今日の呑み会ももう帰りんさい」
「え、でも」
盛「あー、でもめんどい先輩来るんやっけ？どうしても言うなら俺の隣で呑みいや」
「‥ありがとうございます」
ジュース奢ったるわ、と投げられたものはヤクルト。(ヤクルトて！)なんて思ったがそれもきっと優しさなのだろう。
「お返しです」
盛「‥‥‥俺明石焼きなん！？」
「だしなら楽屋ありますよ」
盛「ソースちゃうん！？」
「いやー、リリーさんがやっぱ明石焼きのが熱いし
なにより嫌がらせできるやろって満面の笑みで」
盛「アイツほんま、はよどつかなあかん」
全く。そう言って歩いていく盛山さんの背中は
先輩、だった。
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作者名：伊藤 | 作成日時：2021年4月8日 4時
