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第伍拾肆戦 私怨 ページ7

神秘を秘めたのが、神ではなく人間だったから、彼に畏れを抱いた。前の主でもない見知らぬ青年が、自分たちの為に怒り、前任を退けた。それだけで十分だった。
前任が審神者の任を解かれた際、これで良いという安堵が全身を駆け巡った。もう二度と、仲間が傷つかずに済む。それが嬉しかった。
この本丸が堕ちてからというもの、初めての安堵だったに違いない。

「これであいつも……」

報われるに違いない。前任に折られたかつての仲間を想い、長谷部は瞳を閉じた。

◆◇◆

一方場所を移して手入れ部屋。政府に行ったこんのすけが戻って来て、騒がしさが増していた。

「前任には5年の執行猶予が付きますが、あの男の息が掛かった者が未だ政府に居ます」

「その執行猶予が切れる前に全ての証拠を掻き集めましょう。仮にも奴らが東さんや神成さんにちょっかいを出してきた時は、真っ向勝負と行きましょう。法廷であの男の顔面に叩きつけてやりたいものですね」

検察に身柄を渡された前任の事情をこんのすけが説明する。どちらにせよ光忠や鶴丸には、あまり良い報告ではない。
だが長門は因果応報、天網恢恢と言いたげに相変わらず、前任の罪を重くしてやろうと煽る。この青年、一見大人しい様に見えるが、敵に回すと蛇より怖いのである。

「長門様……。何か恨みでもあるのですか?」

「ありますよ。武士道忘れやがった政府の汚職官僚共にね。何の為に我々が命を懸けたと思ってやがる。いっぺん三途の川渡って靖国で土下座して来い」

いつもなら口調も丁寧な長門だが、流石に官僚の傍若無人っぷりにはかなり辛辣である。しかし度々ある意味、本末転倒ではないかと、こんのすけは思うのである。

「君は政府が武士道を忘れたと言うけど、僕はそう思わないよ。君と一緒に此処に来たあの役人の子、君に感化されたように見えたよ」

長門と共に本丸に来た青年とは担当の東の事だろう。彼は純粋な青年で、前任の悪道非道にも人一倍嫌悪感を見せた。
最初は政府で対峙した際、長門の怒り任せの威圧感に気圧され、歯の根が合わぬ程震えていたが。

「どうでしょうね。そうなら良いのですがね」

「信用してないの?」

「彼個人は信用しています。でも政府は信用してません」

光忠の質問に長門は即答する。相変わらず、どのような状況だろうと自分の意見はキッパリ言う。迷いの無い黒い瞳の本当の真意を読むのは、まだまだ難しい。

「さて、長谷部さんも気掛かりですが……」

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大日戦(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» ハワイの資料館ですか!私も1度は訪ねてみたいです。私の両祖父が軍人だったのと、生まれが広島なものでよく話を聞かされていました。死が正義という時代から、死を望む時代に変わった事については、皮肉なことに国の根幹は変わってないのです…。 (2018年2月11日 14時) (レス) id: e07552d661 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - 大日戦さん» あの特攻した人の命を表す『ピイー』の音が、米軍の戦艦に突っ込んだ瞬間に『プツリ』と音が途絶える。その儚さにもう発狂しかけました。国のために命、家族すべて失うことが幸せな訳がないですよね?現代に生を得たから言えることですけど。また長文失礼しました。 (2018年2月11日 14時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - 分かりやすい解説をわざわざありがとうございます!(敬礼)私もハワイの博物館とかにあった特攻の資料?とか、遺書のようなものを幼い頃見ていました。今でもその時感じた憂いのようなものが晴れません。国のために命を散らすことが正義なんて・・・ (2018年2月11日 14時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
大日戦(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» “のたまう”は、大体『言う』のニュアンスで書いております。目線は第三者のつもりですが、時々刀剣男士になったり、こんのすけになったり、審神者になったりと突然切り替わることも多々あります…。ややこしくてすみません;; (2018年2月11日 14時) (レス) id: e07552d661 (このIDを非表示/違反報告)
大日戦(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» あ、ありがとうございますぅぅ!退役軍人の手記や特攻隊員の遺書を拝見したことがあるんですが、やはり死への概念が今の人と全然違うのに驚かされましたね…。長門ニキは元大佐でも思考は現場寄りなので、デリケートな部分を書いていけたらと思っております…。 (2018年2月11日 14時) (レス) id: e07552d661 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大日戦 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/member.php?id=16263880  
作成日時:2016年12月18日 22時

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