最悪な出会い ページ1
・
人それぞれ、どこかしらに『ギャップ』というものは存在する。
身なり。性格。スキル。その人が持ち合わせるそれらの中に意外性が生まれる時、それは時として『ギャップ萌え』として、恋愛においての武器にすらなりうる。
・
普段は地味で目立たないのに、眼鏡を取ると可愛かったり。
いつもハツラツとしているのに、不意に見せる弱さがあったり。
ドラマや漫画でよく見る、可愛らしいギャップが、自分にもあったら良かった。
あるいは世の中の男が、女子の持つ全てのギャップを可愛いと思う脳ミソであって欲しかった。
実際私の持つギャップは、男性が想像する『女子の可愛いギャップ』の中には到底当てはまらないだろうし。恋愛において減点にしかならないことを、身をもって知っている。自覚していて、治す気はない。
だから、せめて、見られてはいけないのだ。
異性には。特に、気になる人には。
・
目「・・青木さん？」
・
終わった。と思った。
・
会社から遠いスーパーだからと油断していた。
いや、油断も何も、今までずっとこんな事はなかった。このスーパーで知り合いに出会ったことも、ましてや会社から1時間半かかるこの地域に
住んでいる社員がいるなんて話すら、聞いたことがなかった。
のに。
・
ド近眼の眼鏡。
中学から着ている名前入りのジャージ。
頭の上で留めた前髪。
紫のジャージとのコーディネート最悪な黄色のクロックス。
絶対に見られてはいけない、私の『ギャップ』姿を。
・・見られた。
よりによって、目黒蓮に。
・
新入社員の。
高身長の。
イケメンの。
おこがましながら、ちょっと、いいなと思ってた、目黒蓮。に。
・
冷食コーナーの前はひんやりとしているはずなのに、ブワァと冷や汗が沸いて身体が熱くなった。
A「・・・人違いでは・・？」
目「いや、青木さんですよね？」
ササッと顔を手で隠して背を向けたのに、目黒くんは小走りで寄ってきて、私の横でぴたりと止まる。
適度な距離なんだけど、大きいから威圧感が凄くて・・思わずチラリと見上げると、目黒くんは少し顔を覗き込むようにして「やっぱり」と笑った。
目黒くんはグレーのパーカーに、ジーパンとスニーカーで。
普段上げている前髪は下ろしていて。会社にいる時とは違うのに、相変わらずイケメンで。
私はその可愛らしい目に映る自分の姿との圧倒的差に、泣きたくなった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Emi(プロフ) - この作品すごく好きなのですが、もう更新されませんか？ (6月25日 21時) (
レス) @page36 id: 0a1f78866d (このIDを非表示/違反報告)
ぶたこ(プロフ) - まどろんさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！とても嬉しいです泣。 (2023年3月4日 4時) (レス) id: a24fabd0e7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶたこ(プロフ) - シラユキ。さん» ありがとうございます泣。またちょくちょく更新できるように頑張ります^^ (2023年3月4日 4時) (レス) @page31 id: a24fabd0e7 (このIDを非表示/違反報告)
まどろん(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて、最高です！！！こんなに楽しく見れた作品は久々でテンション上がりまくりです！ありがとうございます！ (2023年3月1日 22時) (レス) @page30 id: 751e143123 (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ。 - 何周もしちゃいます…何回読んでもドキドキしちゃってます…！これからも頑張ってください！ (2023年3月1日 20時) (レス) @page30 id: c787a593b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぶたこ | 作成日時：2022年10月24日 5時
