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ルナティックナイト―4 ページ14

ゆっくりと腰を下げて姿勢を下げる。

扉にゆっくり近づく。

ドアノブを握るオレの手は、震えていた。

それは、恐怖からではない。








ー愉しみたいんだ。







…あぁ、殺したい。




エレベーターの扉に負けない位、ガッ、とドアノブを捻って扉を開け放つ。





「ー見つけた」



思わず、ニヤリと笑みが溢れる。


この屋上に、女がいた。





ピッチリと着ている黒い服装は女の美しい体をありありと魅せる。

服装に色合わせするような艶やかな黒髪が風に流れ、髪に映えるような白い陶磁の肌。

月明かりが、彼女を照らす。









今の状況を一言で簡潔に表す言葉をオレは知っていた。


狂気的(ルナティック)、だな」



…西洋では昔から“(ルナ)”が人を狂わせると信じられていた。

狂った人間などを“ルナティック”という。


ニヤリ、と女も笑う。



「そうね、狂気的な夜へようこそ!!」


女は懐へ手を入れて拳銃を取り出してオレに向かって撃ってくる。



ガガガガ、と繰り出される弾丸を避ける。




オレも負けじと帯からナイフを取り出して低姿勢のまま、地面を蹴る。




そして、ナイフを女の眉間を貫こうと伸ばす。
女は間一髪オレのナイフを避けて、長い黒髪の束に刃が突っ込む。



「つっ…!」



一気に距離を詰められたのを焦った女は、ギターケースを背中に背負い、








ーマンションの屋上から飛び降りた。







…正確に言えば女は、ワイヤーを伝って隣のビルに飛んだようだ。



「作戦の妨害が入ったわ!______!」




風の音が遠ざかる彼女の声を掻き消す。








「…逃がすかよ、馬鹿め」

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作者名:paranoia | 作成日時:2018年5月13日 21時

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