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ルナティックナイト―3 ページ13

カラン、カラン。




マンションの側面に添えられている階段を登り、屋上を目指す。


高級マンション、というのは名目上だけで簡単に入ることが出来た。


正面玄関には高級マンション感は漂っていた。
豪華な椅子があるロビーもあるし、監視カメラもついていた。



しかし、裏手から回ると階段が見えた。
屋上まで続いていると思われる階段の近くには監視カメラはついておらず、なんと容易に入ることも可能だった。




しかもなんと途中どこかの階への扉を開けてみると、そこには寂れたエレベーターまでついており、こちらも監視カメラがなかった。


案外、外見はしっかりしているように見えても中身の警備はガバガバでハリボテを思わせた。


カチリ、とエレベーターのボタンは沈むかの様な暗い音を立てる。

次第にゴウン、ゴウンとこれまた腹にどっしりとくるような重たい音が自分の周囲を囲む。


程なくしてチン、と細い音が立つ。





ガッ、と勢いよくエレベーターの扉が開いた音を聞いて

“自分は高級マンションに乗り込んだのではなく、幽霊が住まうゴーストハウスにきてしまったのか”

と思った。


それぐらい、高級マンションという言葉が似合わなかったんだもの。



恐る恐る、冷たい床に足を乗せる。









ーカラン。


冷たい床に、冷たい足音が響いた。


再びガッ、と勢いよく扉が閉まる音を背で聞き、目の前の鉄扉を睨む。






ここに、誰かがいる。



それは、確信に近いものだった。


伊達に殺人衝動なんて抱えている訳ではない。
あからさまな殺気なんて、すぐに気がつくさ。



オレは扉を睨みながらゆっくりと腰を下に下げていった。

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作者名:paranoia | 作成日時:2018年5月13日 21時

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