霧晴14:事実は ページ14
「あら、気付いていたのね」
人は沢山はいないが、ベルモットは変装は解かないまま、優雅に新聞を片手にコーヒーを飲んでいた。
「娘が船に乗るって言っていたから見守りに来たけれど、今は隔離されているようね」
隔離。
その言葉ですぐにAを思い付いた。
Aが、ベルモットの娘?
そんな筈はない。彼女の両親は既に他界している。
まさかベルモットの養子なのか?
考えを巡らせているとまた彼女が口を開いた。
「…貴方も知っているでしょう。Aのこと」
ドクリ、と胸が鳴った。表情には出さないようにしていたが、心音が速くなるのが分かった。
「あの娘が入院していた病院に行った時にね、“母さん”って呼ばれたの。
その時、“この娘を守りたい”って思ったの」
その声はとても温かく、“娘を想う親のよう”だった。
「貴方、Aの恋人でしょう?
…娘を悲しませたら殺すわよ」
それだけいうと、彼女は席を立った。
「待って下さい」
と慌てて止めようとすると、微笑んで
「すまない。急いでいるんで」と、男の声で返された。
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午後6時
雨が甲板を打ち付ける音で目を覚ました。
この倉庫でやることはなく、寝る位しかなかったので適当に寝転んで眠っていた。
飲み物や食べ物は貰えるが、暇すぎる。
“本を持ってきて欲しい”と従業員に頼むと本で脱出する気か、と言われて諦めた。
…よくよく考えなくても本でどうやって脱出するんだろうか。
起き上がり、体を伸ばして周りを見回した。
当然、退屈しのぎになりそうな物はなかった。
服装はブラウスにスカート。
流石にパジャマのままでは、と従業員の人が気をつかって用意してくれた。
…それにしてもあの小太りの男は怪しいし、殴り飛ばしたい。
軽く構えて拳を突き出すと、違和感があった。
組織に捕まって脱出を試みた時から何故か運動神経もとい戦闘能力は向上したが、今は体があまり動かない。
パンチを繰り出した時もいつもは
嫌な予感が頭をよぎったそのとき、扉が開いた。
…逆光で顔が見えない。
その人が無遠慮に部屋に入り、扉を閉めた。
従業員の人は私を恐れて部屋に入ったりはしなかった。
一体誰が来たかと目を凝らしてその人の顔をよく見た。
…私は悲鳴を上げた。
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paranoia(プロフ) - ありがとうございます!次章もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです…! (2018年4月1日 22時) (レス) id: 1c11084766 (このIDを非表示/違反報告)
ロミオ(プロフ) - 4章も終わりおめでとうございます!結婚のやつもぜったい見ますね! (2018年4月1日 10時) (レス) id: ebb52c12f2 (このIDを非表示/違反報告)
paranoia(プロフ) - 最近更新遅くなっていますが、この作品を楽しんでいただけているみたいで正直とても嬉しいです( 〃▽〃)これからも頑張ります! (2018年3月30日 17時) (レス) id: 1c11084766 (このIDを非表示/違反報告)
ロミオ(プロフ) - めっちゃ面白いです!すごい好きです、この作品!更新楽しみにしてます! (2018年3月30日 15時) (レス) id: ebb52c12f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:paranoia | 作成日時:2018年3月26日 23時