今日を、生きれるかな【降谷零】

夢幻泡影11:巣立ち ページ18

ナイフを構える。
銃を構える。


二人の得物はそれぞれ違う。
けれど、私の足は地面を蹴った。



銃で狙われるが寸でのところで体を捻り、かわす。


銃を切断して腹部を狙ったとき、肩を庇う仕草が見えた。







腹部ではなく、肩のところを狙うとやはり避けた。


その隙をついて外へ出て、すぐ近くにある大通りまで走った。


人混みに紛れてゆっくりとその場を離れることが出来た。









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『危なかった…！
何だよ！アイツらすぐに銃向けてきやがる！』




久々に家に帰ると床に座りこんで大きな声で愚痴る。

勿論、部屋には誰もいないから聞こえることはない。




…ふと、これからどうしようかと考える。

家は？変えた方が良いのか？
いや、ヤツらも家までは追いかけてこないハズだ。


黒の組織は？どうする？




などと真面目に考え出したところでプッと笑いがこみ上げた。



『私、ただの絵本・童話作家じゃないか』







『悪の組織と戦う、というのはあまり向いてないな』
と思うと原稿用紙を取り出す。


暫く入院していたのだから、原稿が全く進んでいないのだ。
…あぁ、担当は怒るだろう。
そうなったら必死に原稿を頑張るか。などと平和な日常を思い浮かべる。



その日常に、リンネ君(彼)はいない。

それでも、前に進む。
未来を向いて歩こう。


そう思い立った。

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