出会いの冬 ページ2
side こじま
「やっべ、何も無いやんか……」
夜８時。バイトから帰って腹ペコの俺は、冷蔵庫の中を見て絶望
久しぶりに自炊なんてしちゃうかとか言っといて、目の前にあるのはくたくたになったいつの日かのキャベツと、いかにも危険そうな飲みかけの炭酸飲料。そして、結局一度も使われなかったチューブ調味料が偉そうに横たわってる。
……一人暮らしって、こういうもんやっけ？
正直もう出かける気力は無いけど、夕飯抜きのほうが一大事やわ。
あ、デリバリー……いや、そんなん頼めるほど裕福やないし。
しゃーないなと呟き、クロックスを引っかけて外に出る。
まだ１１月とはいえ夜の寒さは体に堪える、こんなときに手つないで暖めてくれる彼女でもおったら最高なんやけど。
『いらっしゃいませー』
コンビニに入ると聞こえた若い声。いつもはやる気のないおっさんの声やけど、明らかに声のハリがちゃうわ、
レジに目を向ければ……うわ、若すぎる。見るからに俺より年下やん、こんな遅くまで偉いもんやなあ
いや、思考がおじさんじみてるけど、俺もまだぴちぴちの二十代やっつうの笑
商品棚から適当に弁当を手に取り、ついでにコンビニスイーツなんか買っちゃって。大学課題のお供はやっぱ甘いもんよな。一浪して入ってるもんだから、留年なんてしたらたまったもんじゃない
はよ帰って課題終わらせなあかｎ『あ？なんだてめぇ、生意気なガキだなぁ！』
いきなり怒鳴り声が聞こえて見てみると、
うっわ、出たわ。夜のコンビニに出没する酔っ払いジジイ
「あの、お酒を買われる方全員に身分証明書を提示してもらってて、、ルールなので……」
『なんだよお前、おれが未成年に見えるってか？ふざけんじゃねえよ店長呼べよ！』
ほら、あの子も困ってんじゃんみっともない。
まあ、俺やって良心ってものはあるわけですし？ましてや年下の子なんかほっとけないやん。
「なあおじさん、なにしてるん？」
『ん？ああ、ちょっと酒買うだけなのにコイツがケチつけてくんだよ』
「そんなん紙一枚見せるだけで済む話やん。しかも今、手出そうとしてたやんな？これ以上騒ぐと警察呼ぶで」
『っ……け、警察なんて呼ぶんじゃねえよ！こんなとこもう二度と来ねえから！』
はい、解決。ほんまお騒がせな奴やわ
「あ、あの、、ありがとうございました」
「いや、お安い御用よ、夜って変な人多いから、気いつけてな？」
よく見ると可愛らしい顔した子やな、、、
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作者名：みお | 作成日時：2023年8月22日 16時
