愛し、愛されたいので_１ (ページ9)

今日:15 hit、昨日:8 hit、合計:4,274 hit

□. ページ9

.
.

(あぁぁあぁああぁぁぁぁ…………)

(なんで、こうもすぐ調子に乗るんだ私は……！)
　

　『何とかなるだろう』と私の精神状態を盲信した結果がこれだ。こんなの、物語の序盤も序盤で破綻させるようなもの！脆いくせに、学習もせず意固地になるからこうなるんだ……！

　……結果的に、『女の子のともだち』なれるはずだった唯一も失った。友人になれるかもしれないと、精一杯良く見せようとした努力も水泡に帰した。…………"はじめて"だったのに。

(だが、こんなのは自業自得だ)

(……やっぱり、私には無理なんだろうか)

「＿＿雫石せんぱぁい♡ きゃっ、ウフフ♡」

(こんな私に、『ともだち』を作る資格なんて……)

　＿＿＿＿＿＿待て、誰だ？

「突然ごめんなさいねェ？あんずちゃんから、自分の代わりに様子を見てきてほしいってお願いされちゃってェ」

　真っ白なカーテンで仕切られた向う側に、誰かがいる。

(それになんだ、この甘ったるい声は……)

　男にしては高く、女にしては些か低い。……あんずではないなし、仁兎なずなでもない。なら誰だ。私の知らない……男、か？

「入っちゃっても大丈夫かしらァ？」

「……どうぞ？」

「あらっ♡ じゃあ、失礼するわねェ」

□□□

　ようやく逢えた

「アタシは『Knights』の鳴上嵐。お逢いできて光栄よ、雫石先輩♡ きゃっ♡『先輩』って甘美な響きよねェ♡♡」

「あ、あぁ……？」

「なぁにその表情♡♡」

(可愛い、可愛い可愛い……♡♡♡)

　アタシは、『雫石A』のファン。

　同じ舞台に立ちたい、肩を並べて舞い踊りたい。彼女の隣に立てたら、“アタシ“はもっと輝ける。そんな淡い理想を胸に秘めて、オーロラのような軌跡を追っていた。

　けれど＿＿所詮は絵空事、夢物語。なんて愚かで、浅ましい理想(恋心)なんだろう。

(だって、届くはずないんだもの……)

　生であなたを見た時、初めて覚えた敗北感。同等じゃない、同じ舞台なんかじゃない、肩を並べるなんて、できっこない。

(あの時はショックだったわァ。……けどアタシね、相当諦めが悪いみたいなの)

「アタシ、あなたと『おともだち』になりたいの」

「ともだち……」

「そっ♡ お茶したり、ランチしたり、……デートに行ったり。とにかく色んなことしましょ♡ ＿＿アタシと、あなたで」

■.（少し変更）→←□.