貴方に愛されたかった【 YG 】

29 ページ29

.
.
.









本家の客間に入れば、ユンギさんがいた。



YG『 何の真似だ ？ 』



両親から家に呼び出された事を怪しく思っているのが、怪訝そうな顔で私に尋ねてきた。



「 ... 少しお話でもしようかと思って 」


YG『 お前のせいで ユナと会う時間が減った 』


「 それはすみません 」



YG『 しょうもない話しなら早く帰してくれ 、 ユナが待ってる 』


「 ...... 」



口を開けば ユナ ユナ って、今貴方の目の前にいるのは私なんですよ？

少しの話す機会すら与えてくれないのですか？





「 ユンギさんの気持ちを聞かせてもらおうかと思い呼ばせて頂きました 」



嘘だけど、ユンギさんが眠るまで私は彼に手を出せない。男と女の力じゃ差があまりにも大きい。抵抗されたら全部失敗してしまう。

彼に差し出されたら珈琲には睡眠薬が溶かされている。

直に眠気が襲ってくるはずだ。


それまで時間を稼げばいい。



YG『 俺の気持ち ？ 』


「 はい 、 この婚約を解消したら今後どうして行くのかという考えを聞きたくて 」


YG『 ... そんな事聞くなんて珍しいな 』


「 たまには良いじゃないですか 」


YG『 何だ ？ 無理矢理にでも結婚するつもりじゃなかったのか ？ 』


「 ... それより話を聞かせてください 」



YG『 婚約は近々破棄する予定だ 。 長引かせるのも無駄だしな 』


「 近々 、 というのは ？ 」


YG『 冬迄には 』


「 そうですか 」



早めに行動に移して良かった。

冬なら、まだ間に合う。



YG『 まあ婚約破棄すれば 、 俺も家も 、 今の暮らしが無くなるのは分かってる 』

YG『 だけど 両親にも承諾は得ている 』

YG『 パク家に媚び諂う暮らしにはもう疲れたってな 』


「 ... そうですか 」


YG『 怒らないのか ？ 』


「 何故ですか ？ 」


YG『 婚約破棄について 』


「 私が怒ったって何も変わらないですよ 」



ユンギさんが眉を潜めた。

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す