貴方に愛されたかった【 YG 】 (ページ21)

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淡い期待を胸に、早くお礼を言いたい一心で保健室を飛び出して教室に向かう。

もう放課後だし、ユンギさんがいる保証は無い。でもユンギさんがいる気がしたから走った、なりふり構わず走った。

でも私はこの時忘れていた、キムユナの存在を完全に忘れていた。

「ユンギさッ ... 」

窓際で抱き合う2人が目に入った。

その2人というのは勿論、私の会いたかったユンギさんと、私の会いたくなかったキムユナ。

ああ、神様あなたは酷いお方ですね。

私の小さな期待をいとも簡単にぶち壊してくれる。

ユンギさんが私の事を少しでも想ってくれてるなんて、そんな都合のいいことあるわけないんですね。分かってるけど、やっぱりどこか悲しく感じる。

YG『何だ』

相変わらず素っ気ない態度。

キムユナは優しく抱きしめるくせに。私には態度だけじゃなくて言動ですら冷たいんですね。

「保健室まで運んでくださりありがとうございます、それだけです」

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教室から出て、何だか異様にむしゃくしゃして無性に泣き叫びたくなった。

きっとこれは期待を裏切られたから。

期待をした私が馬鹿だった。

この重くドロっとした気持ちを振り払いたくて全力で走った。なりふり構わず、髪が乱れようが息が上がろうが、そんな事どうでも良かった。

ただ、走り抜けたらきっと私にも幸せが訪れるんじゃないかって、この暗闇を走り抜ければ私は明るい場所に出られるんじゃないかって、また淡い期待を抱いている。

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人にはそれぞれ物語がある。

だからこそ、私の知らないところであの2人の物語は進んでいる。

私が気付いた時にはあっという間に展開が進んでいて、もう後戻りはできない、やり直せないようになっている。

キムユナとユンギさんが結ばれるのは時間の問題。いやもう結ばれてるのかもしれない、2人の心は通ってるのかもしれない。

どこか寂しく、悲しく、虚しく、私の気持ちだけが行き場を無くして彷徨う。