38話 ページ38
医師が僕に語りかけるように話す
『 彼女はね 、 原因不明の持病があって幼い頃から身体が弱かったんだ 。
彼女はその病気のせいで両親に捨てられて 、 今までは叔父の僕が親代わりに面倒を見てきた 。
娘のいない僕にとっては 、 娘も同然に可愛がってきたよ 』
懐かしそうに目を細めて話す
『 9歳か10歳の頃かな 、 彼女は夜中に病院を抜け出してね 、 探したら君と2人で公園にいた 。
両親と離れてから笑わなかった彼女が 、 君と話している時は笑ってたんだ 。
15歳になった頃かな 、 彼女の寿命は長くないって分かったんだよね 』
急に顔付きが曇った
『 僕らは 彼女に生きる希望を抱いて欲しくて話さなかった 、 けれど彼女は自分で気付いていたみたい 。
彼女の口癖だった 、 私も普通の子みたいになりたい 、 冗談のように笑いながら言っていたけれど 、 その一言には色んな思いが込められてたんだろうね 』
『 21歳になった日彼女は泣いて帰ってきた 。
毎日暗い顔して 、 見てるこっちが心配になるほど 。 でもね 、 君が病院に運ばれてきた日 、 君が帰ったあと 彼女は少し嬉しそうだったんだ 。 でも彼女の寿命はもうほとんど尽きかけていた 。 それは彼女が一番分かっていたはず 。
目眩 、 突然の失神 、 呼吸不全 、 嘔吐
いつ死ぬか分からない恐怖に怯えて 、 最近は不眠症にもなってしまっていた 。
僕達は何もしてあげられなかった 。』
悔しそうに顔を顰める叔父さん
『 昨日 、 彼女が外泊するというメッセージが来て正直心配だった 、 でも今日帰ってきた彼女は幸せそうだった 。 彼女が初めて 生きていたい って言ったんだ 。
でも 生きられなかった 。 突然死だね 。
それでも 、 こんなに安らかな顔で眠れたのは君のおかげかな 。 最期に彼女を幸せにしてくれてありがとう 。 』
医師の話を聞いても涙が出なかった
だって 、 彼女が死んだなんて 信じられない
受け入れられないよ
でも 彼女がどんな思いで過ごしてきたのか
そう考えると胸が痛い
僕は彼女を幸せにしてあげれていない
僕はいつも幸せにしてもらっていた
もっともっと側にいれば良かった
こんな形で終わるなんてあまりにも辛い
もう君に会えないの ？
もう君の声を聞けないの ？
もう君の優しさに触れられないの ？
もう二度と君の温もりを感じられないの ？
苦しくて胸が張り裂けそうだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 439人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソム(プロフ) - かなめさん» 泣いていただけて嬉しいです！そんな事言っていただけるなんて嬉しい限りです；；；； (2019年4月9日 0時) (
レス) id: 5d16995fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ソム(プロフ) - 桜餅.さん» そんなふうにお褒めいただけるなんて光栄です。泣ける作品が書きたかったので良かったです。 (2019年4月9日 0時) (レス) id: 5d16995fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ソム(プロフ) - テテさん» 本当ですか？それなら嬉しいです；；；； (2019年4月9日 0時) (レス) id: 5d16995fc0 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ - 感動して泣いちゃいました(; ;)ソムさんの作品は全部面白いです！次も楽しみにしてま〜す (2019年4月3日 21時) (レス) id: 9aebca689f (このIDを非表示/違反報告)
桜餅.(プロフ) - 涙が止まりませんでした、、最近はあまり泣けるお話を見ていなかったので本当に感動しました (2019年2月28日 1時) (レス) id: 444f8cfc75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソム | 作成日時：2018年12月18日 19時
