月 下 美 人 【 TH 】

35話 ページ35

TH『 もしもし 』


「 どうしたの ？ 」



彼女を病院に送り届けて

一人で夜を迎えた



昨日まであった温もりが感じられなくて

何だか寂しくて


気付いたら彼女に電話をかけていた





TH『 何となく ... 声が聞きたくなって 』


「 なに ー ？ 寂しくなっちゃったの ？ 」



電話の奥で彼女がくすくすと笑う


全部見透かされてるなあ

なんて思うけど 、 悔しいとかいう思いはなくて


ただただ 彼女の声に気持ちが安らぐ



TH『 寂しいのかも 』


「 テヒョナはおこちゃまだね 」



寂しくなるのがおこちゃまだというのなら

僕は一生おこちゃまでいい


だから そんな寂しがり屋僕のために

ずっとそばにいてほしい




TH『 僕 、 こんなに幸せでいいのかな 』


「 良いんだよ 、 テヒョナが幸せだと私も幸せ 」



二人のこの幸せが永遠に続けばいいのに









.









TH『 ねえ A 、 僕達ずっと一緒にいられるよね ？ 』


「 ... うん 」






彼女の声が震える




そうだ 、 いつもそうだ



ずっと 永遠 これから



この類の言葉に彼女は言葉をつまらせる









TH『 ねえ 、 好きだよ 』


「 私も 、 好き 、 好きだよ 」






電話の奥で彼女が泣いている気がした


確証は無い 、 ただ何となくそんな気がした







TH『 Aを失いたくない 』


「 私だって ... ！ 」



そう言ったところで彼女が言うのをやめた



「 何も無い 」









TH『 何か 、 僕に隠してない ？ 』



彼女からの返事はない



TH『 ねえ 、 何を抱え込んでるの ？ 』



どうして1人で泣くの ？


僕じゃ君を助けてあげられない ？

僕は君に何もしてあげられないの ？




彼女は消え入りそうな声で


ごめん 、 おやすみ




それだけ言って一方的に通話が切られた

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