3話 ページ3
彼女との出会いは
確か 、 9歳の頃だったかな
あの日は雪が降っていた
とても寒かったのを覚えている
30日は僕の誕生日なのに
両親が仕事で家に帰れない って言った
僕はそれが悲しくて寂しくて
夜に家を飛び出した
行く宛も無く 走って辿り着いた先は公園
息も上がって苦しくて
ベンチに座って休憩していた
家を飛び出してきたから
格好は薄手で 寒くて凍え死にそうだった
でも 意地張って 家に帰りたくなくて
ベンチで肩を震わせていた
寒さに耐えられず くしゃみをした瞬間に
首にふわっと温もりを感じた
首元を触ると
赤いマフラーがかかっていた
TH『 誰の ... ? 』
振り返ると 女の子が立っていた
息は白くて 頬はほんのり桃色がかっていた
厚着をしているけど 首元は露わで
ああ 、 自分自身のマフラーを
僕に貸してくれたんだな って思った
途端に申し訳無くなった
TH『 これ きみのなんでしょ ? 返すよ 』
そう言って外そうとしたら 手で抑えられた
TH『 なんで 、 君が風邪を引いちゃうよ 』
そう言っても 首をふるふると振って
頑なにマフラーを返させてくれない
すると今度は彼女が くしゃみをした
TH『 だから言ったじゃん ! 』
彼女は僕を キッ と睨んだ
意地でも僕にマフラーをさせたいらしい
だから僕は
マフラーを2人で巻くことを提案した
幸いマフラーは長かったので
彼女を何とか説得して 2人で巻いた
彼女と2人ベンチに座って空を見上げた
TH『 君は ... 誰 ? 』
彼女は 口元に人差し指を立てて当てて
秘密 と言うかのように ニィ と笑った
秘密 にもどかしさも感じたけど
笑う彼女が楽しそうだったから
聞くのをやめた
TH『 僕明日 誕生日なんだ 』
なんで 伝えたのかは覚えていない
でも彼女は驚いた様に目を見開いて
うーん と考える素振りを見せた後に
ポケットから飴ちゃんを3つ取り出して
僕の手のひらに乗せた
TH『 くれるの ? 』
彼女は 笑顔で頷いて 僕の頭を撫でた
その瞬間に
何でか分からないけど 涙が零れた
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ソム(プロフ) - かなめさん» 泣いていただけて嬉しいです!そんな事言っていただけるなんて嬉しい限りです;;;; (2019年4月9日 0時) (レス) id: 5d16995fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ソム(プロフ) - 桜餅.さん» そんなふうにお褒めいただけるなんて光栄です。泣ける作品が書きたかったので良かったです。 (2019年4月9日 0時) (レス) id: 5d16995fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ソム(プロフ) - テテさん» 本当ですか?それなら嬉しいです;;;; (2019年4月9日 0時) (レス) id: 5d16995fc0 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ - 感動して泣いちゃいました(; ;)ソムさんの作品は全部面白いです!次も楽しみにしてま〜す (2019年4月3日 21時) (レス) id: 9aebca689f (このIDを非表示/違反報告)
桜餅.(プロフ) - 涙が止まりませんでした、、最近はあまり泣けるお話を見ていなかったので本当に感動しました (2019年2月28日 1時) (レス) id: 444f8cfc75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソム | 作成日時:2018年12月18日 19時