5話 ページ23
また夢を見た
3人称視点なのに感覚がある
暗闇の中で
何処かも分からず
宛もなく歩く私
歩く脚は重くて
息は苦しい
ザワザワと雑音がする
足には幾つもの腕が絡まっていて
私を掴んで離さない
首にも腕が巻き付いている
段々私を締め付ける
聞こえなかった雑音が
段々ハッキリとした音に変わる
雑音ではなく呻き声だった
"ごみ"
"人殺し"
恨み辛みの言葉のカーニバル
気付いたら私は膝くらいまで水に浸かっていた
否、水ではなく ﾄﾞﾛｯ とした何か
目を凝らしてみると
それは紅黒く 仄かに鉄臭い
何度も嗅いだこの匂い
｢ああ...血か｣
これは血の沼か
歩く度にずぶずぶと血の沼にハマっていく
その度に強くなる呻き声
身体の重さ
これは私の仕事の数なのかもしれない
このまま私は溺れるのかもしれない
溺れた時
私は死ぬのか
咄嗟にそう思った
それも仕方の無いことなのかもしれない
私にはそれがお似合いだ
.
遠くから一筋の光が差し込んだ
それは辺りを明るく照らした
私の身体が少し軽くなる感じがした
呻き声も少なくなった
光の先で誰かが何か言っている
でも聞こえない
私はその光に手を伸ばす
柄にも無く
｢...助けて！｣
なんて言いながら
笑っちゃうよね
これだけ罪を犯して起きながら
まだ生きたいだなんて思っちゃうんだもん
でも
夢の中でくらい助けを求めても
バチは当たらないでしょ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソム | 作成日時：2018年9月15日 13時
