キエチマエカナシミ (ページ9)

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都会の真実と嘘ページ9

小島が俺たち2人を連れて行ったのは洋館の中庭だった。

「申し訳ないですけど、お二人の事は調べさせてもらいました。」

「お前、何者や？」

敵か。味方か。

しっかり見極めなければ。

少なくとも敵では無さそうというのは思っているけど。

こいつの目的は俺にとっては見当もつかへん。

「2人が王都から来たんはわかってます。末澤中尉と草間少尉。」

その呼び名に隣に立っている末澤の肩がピクリと反応する。

「どーやってそれを？」

「軍のサイバーセキュリティは甘すぎますよ。情報は筒抜けや。」

小島は口角を少し上げて笑った。

「話が見えへんな。俺らが軍隊にいたから。だからなんやねん。」

「この街は、小さな平和な街やった。俺が子供の頃は。」

小島の顔から笑みが消えた

「全部変わったのは数年前。街の外れの山中にできた軍の施設。表向きは陸軍の武器庫って言われてますけど。お2人には見当がついてるんやないですか？」

思い当たるのは一つだけ。

けどまさか。

こんな小さな街にまで？

嘘をつくのは苦手や。顔に出てたんやろう。小島は確信したように頷いた。

「「G」の存在。お2人は知ってるんですね。」

末澤の顔色が変わる。まずい。そう思った瞬間、末澤の体がヒラリと宙に舞い、小島の喉を目がけて末澤の右手から銀色のナイフが伸びる。

流れるのは鮮血。

そう覚悟して下を向いたが、末澤のナイフは小島と末澤の間に割って入った何者かによって、20mほど先に弾き飛ばされた。

俺でも止められへん末澤を止めた茶髪の細身の男。

小島は、末澤に怯えた様子も無く

「大晴～、なんでずっと隠れてたんーー？？」

「うっさい。」

なんてそいつと明るい口調で喋る。

その様子に我に返ったのか、末澤も軽く息を吐いた。

「お前らが只者やない事はわかった。そんで、俺らから何を知りたいん？」

小島はその言葉に嬉しそうに笑った。

と同時に、小島のポケットから着信音。
タイミング最悪やな

小島は、残念そうにこちらを一瞥すると。

「見てもらった方が早そうですね。ついてきてくれます？」

と言った。

末澤が俺を見る。頷くと、末澤も頷き返した。

「真実と嘘。俺らが知りたいんはそれだけですよ。」

小島の言葉の意味を瞬時に理解する事は俺らにはできひんかった。

現実を目の当たりにするまでは。