キエチマエカナシミ (ページ8)

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綺麗や。

リチャはいつだって。

あからさまに、殺気を纏わせたリチャと一緒に寂れた街を歩く。

地図は、本当に雑に書かれていて、最低限の目印しか書いてへんかったけど。

それにしても。

真っ昼間だというのに、人通りはまばらで。

よそ者の俺らの顔を見ると、すぐに物陰へと隠れてしまう。

まあ、田舎町ではそれが普通なのかも知れへんけど。

「......ここやな。」

リチャの声に、立ち止まる。

俺らの目の前に建つ古い洋館は。街全体を見渡せる小高い丘の上に建っていた。

「迎えは無しか。おい、末澤。敵が隠れてるかも知れへん。一応準備しとけよ。」

そう言ってリチャが俺に投げた拳銃の重さがズシリと感じる。

できれば使いたくないけれど。

「行くで」

リチャが、軽く息を吐きながらドアノブに手をかけた瞬間。

勢いよく、洋館のドアが開いた。

思わず、リチャがナイフを構える。

「ウワッ！！！」

ナイフを向けられるとは思っていなかったのだろう。

俺らよりだいぶ年下に見えるその少年は、思わず後ずさって、尻もちをついた。

「ちょ、ちょっと！待って！」

慌てふためく少年の様子に、俺らへの敵意は感じられへんくて。

ため息と共に、リチャがナイフを下ろす。

「俺らをここに呼んだんは、誰や。」

「あ、俺ですねぇ。」

呑気な声は、洋館の玄関すぐ。煌びやかな螺旋階段の上から絢爛さとは似つかわしくないボロボロの格好で降りてきた高身長の男

「あ、僕小島健言います。すみませんねぇ、こんなとこまで。」

「あ、お前昨晩の。」

隣のリチャが思わず声を上げる。

リチャの声に軽く会釈で答えた、小島と名乗った男の後ろに控える青年が、昨晩地図を持ってきた人物なんやろう。

「まあ、立ち話もなんですから。どーぞどーぞ。」

呑気な声に思わず緊張感が解ける。

掴めへん変な男。

それが、俺の小島健に対する第一印象。