〈6〉 ページ7
「あ〜、喉乾いたぁ…」
あれから3時間はたっただろうか。
佑哉君は少し汗ばんでいる。
「少し休む？」
そう言う愁も少し汗をかいている。
「けど、このまま練習してたいしな〜」
「あ、なら私、何か飲み物買ってきますね！」
「Aちゃん！助かる！！」
「助かるよ。自動販売機は道場の入口の所にあるから」
「うん。分かってる。行ってくるね」
練習のお手伝い、までとはいかないけど、
これくらいの事しか出来ないしね。
「え〜っと、2人ともスポーツドリンクでいいのかな？」
お金を入れて、ボタンを押す。
ﾋﾟｯ
ｶﾞﾀﾝ
やっぱり愁はお水の方が良いかな、と思って
水を買う。
よし、これでOK、と思い道場へ戻ろうとすると、
背の高い男の人が見に入った。
赤い筒を背負い、長い弓と思われる物も背負っている。
けど、彼は袴姿では無い。
スーツ姿だ。
けど、その姿はとても凛々しくて
素敵で
ずっと見てしまう。
縁なしフレームのメガネ。
セットしてある髪型。
ピシッと着こなしたスーツ。
すらっとした長い足。
きっと、世の中の女子は
こういう人を見て、
キャーキャー黄色い声をあげるんだろうな、
とか思ってしまう。
そして彼は当たり前の様に
道場の中へと入って行った。
「かっこよかったなぁ…」
ぼそっと呟いてみた。
そして自分も道場へ入ろうとした瞬間、
待てよ、と。
さっきあの人も道場の中へと入っていった。
てことは、さっきの人は___
"拓矢"と呼ばれている人なのでは？！
嘘。めちゃくちゃガン見しちゃってたよ！
恥ずかしい！！！
耳まで赤くなっていくのが自分でも分かる。
自分の幼なじみの先輩相手に
失礼なことしちゃったかも…
ごめんね愁…。
でも、ここにずっと居ても
彼らは喉を乾かせたままだし、
私は道場へと入っていった。
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作者名：おり | 作成日時：2018年7月8日 21時
