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矢が離れる瞬間、
"カーン"と高い音が響く。
体中の神経を張り巡らせ、
自分との戦いに打ち勝った者だけが
勝者となれる世界。
そんな世界を見るのが大好きだ。
「あれ、内田。また来てたのか」
「あ、長谷部先生。おじゃまさせてもらってます」
「おー。自由に見ていけ」
弓道部の顧問の長谷部先生。
数学担当で、真面目だけど、ノリが良くて面白い。
授業もわかりやすくて男女ともに人気。
実はめちゃくちゃサッカーファン。
「いやー。それにしても熱心に見ているな。
もうそのまま弓道部入れば?」
「えー…私は見ている方が楽しいので…」
「内田だったら真面目に取り組んでくれそうだし、
上手くなりそうだけどな」
「ありがとうございます。けど、もうこの部には
桐谷愁という絶対的エースがいるじゃないですか」
「じゃあ、せめてマネージャーとして…」
「弓道部のマネージャーとか聞いたことありませんよ?」
こうやって先生とくだらない話毎回するのがお決まり。
それから、的に向かって狙いを定めている幼なじみを見るのも
お決まり。
いつもと変わらないひと時を過ごすのも
お決まり。
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作者名:おり | 作成日時:2018年7月8日 21時