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〈3〉 ページ4

矢が離れる瞬間、


"カーン"と高い音が響く。


体中の神経を張り巡らせ、


自分との戦いに打ち勝った者だけが


勝者となれる世界。


そんな世界を見るのが大好きだ。





「あれ、内田。また来てたのか」


「あ、長谷部先生。おじゃまさせてもらってます」


「おー。自由に見ていけ」



弓道部の顧問の長谷部先生。


数学担当で、真面目だけど、ノリが良くて面白い。


授業もわかりやすくて男女ともに人気。


実はめちゃくちゃサッカーファン。



「いやー。それにしても熱心に見ているな。

もうそのまま弓道部入れば?」


「えー…私は見ている方が楽しいので…」


「内田だったら真面目に取り組んでくれそうだし、

上手くなりそうだけどな」


「ありがとうございます。けど、もうこの部には

桐谷愁という絶対的エースがいるじゃないですか」


「じゃあ、せめてマネージャーとして…」


「弓道部のマネージャーとか聞いたことありませんよ?」



こうやって先生とくだらない話毎回するのがお決まり。


それから、的に向かって狙いを定めている幼なじみを見るのも


お決まり。


いつもと変わらないひと時を過ごすのも


お決まり。

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作者名:おり | 作成日時:2018年7月8日 21時

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