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11話 独り、思う。 ページ12

「夕飯ありがとう」
「気にするな。まあ、気が向いたらまた声かけな」
「うん。それじゃ」
 帰っていく月浪に手を振る。寂しい、なんて思っている訳じゃない。でも、いつもとどこか違う。人から離れられたという解放感、ではなく感慨深いような感覚に襲われた。あの一瞬がとてつもなく長く感じられる。どうしてだろう。人と過ごしてこんな風に何かを得たのは初めてかもしれない。これは、なんだ...?
「友達か...」
 友達。そんなものは遠い昔の存在だ。こんな私にも友達は居た。だけど、友達と過ごした短い時間で人の愚かさ、醜さを確信した。勿論、私を含めて。それで、拒絶したんだ。ただでさえ家では...
 部屋の壁の時計に目をやる。もうこんな時間か。針は9時を指している。明日は数学の小テストがあったはず。学校変わって1週間もしないうちにテストとは不幸だな。でも授業としては難しいような内容ではなかったはず。満点取れるでしょう。机に向かった。

ー就寝後ー

「私たち、もう友達でしょ!」
 教室の一角で懐かしい声がする。昔から人に馴染むのが苦手だった自分に優しい言葉をかけてくれた、あの時か。私はあの言葉を喜んで、受け入れたんだ。
「あはは!お前みたいなブス消えちゃえばいいんだよ」
 場面が一気に変わり、夕方の校舎裏。罵声、暴力が飛び交う空間。泣きそうになるクラスメートを見下ろしながら、何かに疑問を持った。
「ちょっと、Aもなんか言ってやんなよ!」
当たり前だが、いじめられる人に恨みなどない。だから、言えることなどないのだ。
「ねえ、なんで放置する訳?友達なんだから、味方してよね!」
そこで悟った。この人は何か間違えている。友達のいなかった私でさえも一目瞭然だ。この人は友達を都合のいい物だと思っている。こんな人とは関われない、そう思ってしまった。
「辛いだろう」
 ぶっきらぼうに言葉を放ち、いじめられているクラスメートの手をとろうとする。当然だが、あいつの傍にいる人間だ、怖がられてしまう。
「なんか...ごめんな。私はあいつの傍にいるだけだ。あんたを傷つける理由なんてない」
安堵するクラスメート。この頃いじめられてずっと暗い気持ちだったらしい。
「少し話でもしながら帰らないか」
うん!嬉しそうに頷いてくれる。すぐに打ち解けて、笑いながらアスファルトの道を歩いた。
「友達っていいな...」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , シャドウサイド , 月浪トウマ   
作品ジャンル:アニメ
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Milkcat(プロフ) - 珠華姫さん» ありがとうございます!楽しんでもらえるような小説が書けるように頑張ります! (2019年8月7日 22時) (レス) id: f6a5fa765e (このIDを非表示/違反報告)
珠華姫(プロフ) - すっごくおもしろいです!更新頑張ってください!無理はしないで下さいね。楽しみにしてます! (2019年8月7日 21時) (レス) id: 8b16303676 (このIDを非表示/違反報告)
Milkcat(プロフ) - kotorin♪さん» 感想ありがとうございます!更新遅くなってしまってますが、出来る限り更新するので読んでいただけると嬉しいです! (2019年7月28日 23時) (レス) id: 444fb6a5c2 (このIDを非表示/違反報告)
kotorin♪(プロフ) - 凄く面白いですね!続きが気になります!頑張ってください! (2019年7月28日 21時) (レス) id: cc2a8c7850 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Milkcat | 作成日時:2019年7月19日 10時

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