【妖怪ウォッチシャドウサイド】期待なんてしてない【月浪トウマ】

３９話　会いに行こう ページ41

花火大会当日。天野さんの父さんが会場の近くまで車を出してくれるらしいので、浴衣を持ち寄って天野さんの家に来ていた。そういえば、私は着付けするのか。
「とりあえず、二人の着付け終わったし、私も着るか...」
　浴衣を着るのは久しぶりな気がする。祖父が亡くなってから着ていなかったな。それがまた着ることになるとは思いもよらなかった。しかも、こんな理由で。感慨深いものを感じながらも着替え進めていた。

「二人ともスタイル良くていいなー。私なんか浮いちゃう気がする」
「そんなことないよ！ナツメちゃんだって細いし可愛いじゃん！」
「...」
　また始まった。この褒め合いってどうしていいか分からない。本心を包み隠しているように見えるのも嫌なところだ。
「おーい、大丈夫？」
「ん？大丈夫だが...」
「そうなの？なんかずっと黙ってたから」
この空気の中言うのもどうかとは思ったが、思ったことを話してみた。
「確かにそれは思ったことはあるかも。でも、思ったこと言っただけなんだよね」
　天野さんのその言葉に驚きが隠せなかった。
「だって五百雀さんも細いじゃん！髪も綺麗だし、美意識高そう！」
「確かに気は使っているが...」
なんというか、裏のない人なのだろうか。そんな人見たこともない。ずっと人の裏を疑って生きてきたから、そんな人想像上のものだと思ってた。
「今度私も教えてほしいなー！お泊まり会でもしようよ！」
「いいね！Aちゃんもやろうね！」
「え...いいけど」
お泊まり会って聞いたことないんだが。人の家にでも泊まって何かするのか？知らんけど...
「あ、ねえねえ！私も下の名前で呼んでいい？」
「...好きにしな」
　どうして人は下の名前にこだわるのか、よく分からない。でも、なんだか嫌な気持ちもしないな。こんな友達の形なら、悪くないなと思えた。
「あ、時間。そろそろ行こうか！」
　そうして私たちは車に乗り込んだ。

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