私を頂上へ連れてって【番外編】 (ページ20)

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白岩「…もう医務室連れて行っていいかな」
川尻「一応連絡したけど、来るの遅いけん行っていいかもね」
白岩「背中乗れそう？無理そう？」
「のれます、のります」

もうほとんど回ってない頭を使ってなんとか会話を成立させる。

ファイナル前も体調崩したなぁ、なんて思いながらるっくんの背中に身体を預ける。

白岩「歩くね。体勢しんどくない？」
「だいじょぶ、です…」

るっくんに医務室に連れてきてもらって、ベッドに横になる。

川尻「A、いつからしんどかったと？」
「……朝からです」
川尻「休まんとダメ。Aの身体が1番大事やけん」
「ごめんなさい…」

蓮くんに怒られて、練習室から飛んできた景瑚くんや祥生くん、汐恩くんたちからも心配をかけるなと怒られた。

白岩「…俺らはAが1番大事だから。だからああやって怒るんだよ。俺もちょっとだけ怒ってる。言ってほしかったしちゃんと自分の身体を大事にしてほしかった」
「…っ、ごめんなさい…」

自分のプロ意識のなさに、自分で失望した。こんなに色んな人に迷惑をかけてしまって情けなかった。

白岩「…泣かないで、また熱上がっちゃうよ」

涙を拭ってくれたるっくんは、眉を下げて困ったように微笑んでいた。

るっくんの言う通り、少しだけ熱が上がってしまった気がするし、泣いたせいか呼吸も少し浅くなってしまった。

大平「…ごめんなA、つらいのはAやもんな。ゆっくり休みや」

祥生くんは全く悪くないのに謝らせてしまった。違うのに、私が悪いのに。言わなかった私が、休まなかった私が悪いのに。祥生くんたちは私を思って言ってくれただけなのに。

「ちが、ちがう、悪くないです…」
大平「…うん、Aも悪くないんやで」

目を合わせて、頭を撫でてそう言ってくれる祥生くん。だけどちゃんと、自分の体調くらい自分でコントロールしないとな。

佐藤「ほんっとに心配したんだから！Aが熱出したら俺まで倒れちゃう」

景瑚くんは、オーディションのときからずっと心配してくれている。今日もこんなに心配かけて、ずっと私は心配をかけっぱなしだなと思わされる。

白岩「…頑張りすぎたんだよね。今日くらい休んで」
「……っ、うん、ありがとうございます」

メンバーの温かさに触れて、なんとなくだけど症状も少し和らいだ気がした。