温もりに触れて ページ19
「……ん、」
朝起きると、尋常じゃないほどに身体が重く、頭がクラクラしていた。考える間もなく熱出てるなと思い体温計を探す。
熱を計ってみると、ディスプレイには38.6の文字が。
今日は新曲の振り入れだ。休んで追いつけないなんてことになりたくないから、薬を飲んで、自分の身体に鞭を打って家を出た。
豆原「おはようAちゃん」
「まめちゃんおはよう」
豆原「あれ、マスク外さないの？」
「最近風邪流行ってるらしいじゃん。だからつけとく」
豆原「…ふーん」
聞いておいて興味のなさそうな返事をしたまめちゃん。それからメンバーも全員揃ったタイミングで、振り入れもスタートした。
.
川尻「A、腕逆になりよるよ」
「ごめんなさい…！」
木全「わっ、大丈夫っ？」
「ごめんなさいっ、」
振りを間違えたり、フォーメーション移動でぶつかったりと普段はしないようなミスが目立った。
與那城「A、大丈夫？一旦休憩挟もうか」
川尻「そうやね」
休憩に入って気を抜いた瞬間、薬の効果が切れた気がして一気に頭と身体が重たくなった。
一気に悪寒がして、震える身体。そして流れる汗。激しく脈打つ鼓動に、若干乱れる呼吸。
白岩「…ちょっと、Aっ、大丈夫？」
「っ、るっくん…？」
白岩「A！」
大平「どうしたんるっくん、…って大丈夫！？ちょ、水買ってくるわ！」
もう何も考えられなくて、るっくんに体を預ける。
河野「A大丈夫なん！？冷えピタあるから使い！」
白岩「ちょっと純喜、声が大きい」
河野「ごめん…」
あまり風邪をひかない身体だからこんなに熱が出ていることが相当しんどいのか、つらくてつらくて仕方がない。思わず、涙も出てきてしまうほどだ。
周りで何が起きてるかも理解出来ていない。
「るっくん、…っはぁ…」
白岩「つらいね、しんどいね」
大平「買ってきたで、ポカリもあるけど飲める？」
「ありがと、ございます…」
大平「ゆっくりでええからな」
祥生くんからもらったポカリを飲めば、少しだけ内側の体温が下がった気がした。
川西「風邪の時って何がええんやっけ…」
金城「えーっと、ネギちゃいます？ネギ」
鶴房「そんなもんここにないわ」
木全「他になんかないっけ？」
白岩「ああもう、Aが寝れないでしょ」
「ごめ、るっくん、しんどいです…」
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作者名：てん | 作成日時：2024年2月23日 23時
