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ふいに、気配がして後ろを振り向いた。
「……え……汐恩……？」
？「……もしかして、Aなん…？」
目の前にいる男性は、紛れもなく汐恩だった。
「汐恩っ、汐恩…！」
汐「久しぶりやな、…元気やった？」
「うん、汐恩は？」
汐「元気やったで。なあ、なんでこんなところにおるん？」
汐恩に会いたくて、仕事はこっちにしたんだ。なんてそんなこと言えない。
「…こっちに就職したから、今はこっちに住んでるんだ」
汐「え？そうなん？知らんかった」
久しぶりすぎて、汐恩のどこが変わったのかも分からなかった。あの頃は汐恩が少しだけ切った髪にも気づいていたのに。
「……あのね、汐恩」
汐「ん？」
「私、……その、汐恩に会いたかった」
汐「俺も会いたかった。ごめんな、別れて」
本当は、別れたくなんてなかった。ずっと汐恩と一緒にいたかった。
運命なんて信じていなかった。汐恩と別れる運命なんて、そんなもの受け入れたくなかった。
汐「…連絡先、交換せえへん？」
「…うん。したい。しよう」
完全に元通りになるかは分からないけど、ここで偶然出会えたことは運命だと思えた。
汐恩のことを、今でも心から愛していること。あのとき本当は引き留めようと思ったこと。でも夢のためだからと諦めたこと。別れようと言われて、頷いてしまったこと。全部全部、あなたに伝えたい。
突然、汐恩の電話が鳴った。
汐「ごめんA、もう行かなあかん。また連絡するから、また会おうな」
「……うん。またね」
.
こんなに綺麗に再開したか、もはや定かではないけれど、今はそんなことあったねと言える。本当は、…どうやって再開したんだっけ。
本当に、あの時偶然に出会った？……なんでもいいか。
「汐恩！」
汐「んー？どうしたん」
「……ううん。なんでもない」
汐「ほんまか？それ」
「うん。…汐恩と再開したときのこと思い出してたの」
汐「懐かしいな。歩道橋やったっけ？」
「そうそう」
やっぱり、私のあの記憶で間違っていなかった。
汐「あんとき俺、実は誰かからストーカーされててん」
「……え？そうなの？」
汐「でもAと再開してからパッタリ止んでん。Aのおかげやな」
「………そうだったんだ、……私の、おかげかもね」
私がそう言うと、汐恩は微笑んだ。
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てん(プロフ) - りちゃんさん» 初めまして。コメントありがとうございます。これからの励みになります！ありがとうございます^^ (3月12日 18時) (
レス) id: 63649c6329 (このIDを非表示/違反報告)
りちゃん(プロフ) - はじめまして！祥生のお話が刺さりまくって泣いてしまいました、！切ない系のお話大好きです。これからも楽しみにしています！ (3月11日 1時) (レス) @page26 id: 0340868d0e (このIDを非表示/違反報告)
てん(プロフ) - れなさん» 初めまして。コメントありがとうございます。そうです！！！気づいてくださる方がいるとは思ってなかったので嬉しいです。ありがとうございます！ (3月7日 1時) (レス) id: 63649c6329 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - はじめまして！勘違いだったら申し訳ないのですが、拓実のお話はバレエと少年という曲がモチーフですか？その曲が好きなので嬉しくなりました！次のお話も楽しみにしてます(^^) (3月7日 1時) (レス) @page13 id: 5cdbf435a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てん | 作成日時：2024年2月25日 19時
