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？「あ〜、ないですね。名前は、與那城奨って言います」
「……しょう、」
ビックリした。苗字こそ違うものの、名前が一緒だったから。久しぶりに「しょう」という単語を口にした気がする。
「…あ、すみません。與那城さん」
奨「…お客さんは？」
「あ。AAです。よろしくお願いします」
彼に淹れてもらったコーヒーは、私の大好きな味だった。コーヒーを飲むのも久しぶりで、全部思い出してしまう。
奨「…話なら聞きますよ」
そう言われて初めて自分が泣いていることに気づいた。この人にならいいか。そんな安心感が彼にはある。気がつけば、全てを彼に話していた。
奨「亡くなられてから、どれくらい経つんですか？」
「もうすぐで1年です」
そう言えば、彼はどこか安心したように微笑んだ。
「…じゃあ、また来ます」
奨「ぜひいらしてください」
まだ雨の降る街の喧騒へと足を踏み出そうとした瞬間、彼に腕を掴まれた。
奨「…待って！……良かったら、連絡先教えてください」
「…え？」
奨「つらくなったらいつでも呼んでください。コーヒーを淹れるのには自信があるので」
「…はい」
何も考えずに連絡先を交換してしまった。
「…奨さんのコーヒー、すごく好きです」
彼のコーヒーと似ているから、ではなくて。飲んだ瞬間、そう思ったのだ。
奨「それなら、良かったです。お気をつけて」
「…ありがとうございます」
.
それから私は、疲れた時や気持ち的にしんどくなった時に彼のお店に足を運ぶようになった。
今日は散々だった。いつもはしないようなミスをして怒られるし、定時前ギリギリに新しい仕事を振られるし。なんてツイてないんだろう。
カランコロン、ともう聞き慣れた音を鳴らす。
奨「…いらっしゃい。だいぶ疲れてるね？」
「奨さん〜、もう今日は散々でした…。…甘めのコーヒーがいいんですけど…」
奨「うん、任せて」
「…ん、美味しいです」
奨「ほんと？良かった。もう閉めるから、送って行くよ」
「え、悪いですよ！」
奨「こんなに暗いのに一人で帰るのは危ないよ。送られてくださいお嬢さん」
「……ありがとうございます」
奨さんの車に乗り込むと、彼の匂いで満たされる。それが心地よくて、思わず身体の全てを預けてしまう。
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てん(プロフ) - りちゃんさん» 初めまして。コメントありがとうございます。これからの励みになります！ありがとうございます^^ (3月12日 18時) (
レス) id: 63649c6329 (このIDを非表示/違反報告)
りちゃん(プロフ) - はじめまして！祥生のお話が刺さりまくって泣いてしまいました、！切ない系のお話大好きです。これからも楽しみにしています！ (3月11日 1時) (レス) @page26 id: 0340868d0e (このIDを非表示/違反報告)
てん(プロフ) - れなさん» 初めまして。コメントありがとうございます。そうです！！！気づいてくださる方がいるとは思ってなかったので嬉しいです。ありがとうございます！ (3月7日 1時) (レス) id: 63649c6329 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - はじめまして！勘違いだったら申し訳ないのですが、拓実のお話はバレエと少年という曲がモチーフですか？その曲が好きなので嬉しくなりました！次のお話も楽しみにしてます(^^) (3月7日 1時) (レス) @page13 id: 5cdbf435a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てん | 作成日時：2024年2月25日 19時
