私を頂上へ連れてって【日プ無印】 (ページ44)

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次の日、まだ少し身体は重いものの昨日より随分とスッキリしていたので昨日祥生くんにもらったみかんゼリーを食べた。

「……はあ」

ファイナル前だよ。なのにこんなに皆に迷惑も心配もかけて、これからもしデビューが決まったら困らない？……私、昔はもっとしっかりしてたのに。

「……はぁ、」

さっきからため息しか出てこない。スタッフさんにもらった頭痛薬を飲んで着替える。練習しないと、デビュー出来ない。もう一度ステージに立つことは許されない。

何とか自分を奮い立たせて練習室に向かった。

「……おはようございます…」
今西「Aーー！」
「わっ、ヒコちゃん！」
今西「ほんまに心配したぁ。ヒコ、Aがおらんと頑張られへん」
「心配かけてごめんね、もう大丈夫だから」
今西「んーならいいけど！まぁゆっくりやな、あんま無理せんといてな？約束ー！」

朝から元気なヒコと話したことで、気持ちも少し前を向いた気がした。

「うん。自分のペースで頑張る」
川西「Aやん！おはよう。もう大丈夫なん？」
「拓実くん、おはようございます。はい、大丈夫です」
川西「…ほんま？無理せんとってな」

拓実くんにきゅるんとした目で見つめられたら頷くしかなくなる。本当に心配かけてしまったんだなって思うと、昨日の自分の行動を反省した。

豆原「Aちゃん、今日は絶対無理しないでくださいね。もうこれ約束。無理したら帰すから」
「…う…はい、心配かけてごめんね」

年下の豆ちゃんからめちゃくちゃ釘を刺されたので、もう絶対無理しない。

豆原「ほんとですよ。…今日来てくれて良かったけど、…Aちゃんまでいなくなるかと思った…」

注意しないと聴き逃してしまうくらい小さな声でそう言った豆ちゃん。ああ、申し訳ないことしたなって思った。きっと彼は思い出してしまったんだ。…彼らのことを。

「…大丈夫。私はいなくならないよ。しんどいと思ったらすぐ休むから。だから大丈夫。心配しないで？」
豆原「……うん」

今まで年下とは思えなかったけど、今初めてちゃんと豆ちゃんは年下なんだなって思えた。

本番まであと6日。デビューするにはこれからギアを上げて、頑張るしかない。