私を頂上へ連れてって【日プ無印】 (ページ11)

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それでも、いい提案を出来ることはなく、また授業の時間に。

前回より詰めたけど、また同じようなことを言われてしまった。やっぱり、私にも出来ることはあるんじゃないか。振りを提案出来ない私が、すごく無力な存在に感じた。

WARNER「あと、平瀬さん。なんか、…表現力も技術もあるんだけど、他の人と比べたら何かが足りないんだよね」
「……はい」
WARNER「気持ちかな？」

気持ちが足りない。まるで、私がデビューしたいという気持ちが見えてこないと言われているみたいだった。ずっとずっと、届けたいと思っていたのに。それが出来ていなかった。

「……気をつけます」
WARNER「んー、気をつけるとかじゃないんだよね。本当にデビューしたいと思ってる？」
「もちろんです！」
WARNER「でも見えてこないんだよね。他の子達の踊りは割と気持ちも見えるけど、あなたのダンスは何かで固められてる感じ。自由じゃない」

何かで固められている。自分の気持ちを隠すようにダンスをしていたってこと？

WARNER「もっと、自分に素直になってみたら？」
「……はい」

授業が終わっても、WARNER先生から言われたことが脳内にこびりついて離れない。

自分に素直になれ、か。

どうすればいいのかな、と悩んでいたら、隣に人が来た。

「……祥生くん？」
大平「俺はAのダンス好きやで」
「……ありがとうございます」
大平「自分に素直になれってさ、……もっとAが思ってることを皆に話してみるのもありなんやない？」
「私が思ってること？」
大平「うん。……ま、頑張ろな」

背中をポン、と叩いてくれた祥生くん。彼の優しさと強さに助けられた。

「……蓮くん」
川尻「んー？」
「その、私も振りとか考えられたらなって思ってたんですけど、難しくて出来なくて」
川尻「そんなこと思ってくれとったと？ありがとう」
「とんでもないです。……でも、何か私に出来ることがあるんじゃないかなって思ってて。今は蓮くんに任せっきりみたいになってるじゃないですか」

これが、私がずっと伝えたかったこと。ずっと隠していた気持ち。

「…だから、振りも構成も一緒に考えたいです」
川尻「…ありがとう。Aは優しいんやね」
「全然です。…蓮くんだけ考えてるのは嫌なんです。その悩みとか、思ってることとか、全部私にも半分こしてください」

そう言うと、蓮くんはまるで割れ物を扱うかのように頭を撫でてくれた。