鈍色の空が晴れたなら (ページ7)

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第六話ページ7

「本丸だった場所……？」
「そうだよ」

とても聞ける雰囲気じゃないけど、本丸って何？
なんか、この屋敷のことを指してるのはわかったけども。

「あの、……本丸って、なんですか」
「ああ、……そうだね、君は審神者じゃなかったな。
そうだね、まずは説明からかな」

私の質問に、少し苦笑しながら優しい声音で彼は言った。

□

「ここは、現実じゃないんですね」
「正確には、現実であるけれど、君たちが住んでいる世界ではない、といったところかな」

本丸という場所、審神者と歴史修正主義者、今現在における戦況。
長義さんは、わかりやすく説明をしてくれた。
これは絶対、教師に向いてるって。
基本的に頭がよくない私でもこんな難しそうな話を理解できたのだから。
よっぽど彼の教え方がうまかったのだという証明だ。

「そして、君は審神者になれるほどではないが、
霊力を有していることが分かった」

いつの間に調べたんだ。
甚だ疑問だが、もう未来の力はすごいんだ、で流しておこうと思う。
これ以上難しいことを言われてしまったら、さすがに私の頭がパンクする。

「えーっと、それで？審神者になれない私はここで何を？
まさかとは思いますけど、穀潰しはさすがにいやですよ？」

穀潰し、いわゆるここではニートを指す。
昔は、ニートではなく穀潰しなどと呼ばれていたらしい。

「俺がそこまで考えていないわけないだろう？」
「そ、そうですね！！」

笑顔に種類があるのかは、わからないが今初めて私は威圧感を感じる笑顔を向けられた。
長義さんには逆らわないようにしよう。怒った美人は怖いもんな。
私の精いっぱいの笑顔は、多分ひきつっている。

「君には、ここの本丸で浄化作業を行ってもらいたい」
「じょうかさぎょう」

とりあえず、長義さんの言った言葉を復唱する私。
じょうかってあの浄化だよね、多分。

「ああ。といっても、この本丸域の浄化は君がここにいるだけで少しずつだが、進んでいくはずだ。
が、そうだな。……正確に言えば、この本丸が活動するのに支障のない状態に戻してほしい」
「例えば？」
「まずは、ここの掃除とかかな。……掃除といっても、本丸はかなりの大きさだ。
それに、……まだ穢れがひどいところもあるからね。まずはこの離れから頼むよ」

家具は燃やして構わない。といい笑顔で言い切った長義さんはこの本丸とやらに何か恨みでもあるのだろうか。