第四十八陣 兆し ページ8
「……え」
視線の先で、妖精さんたちが、手伝い札を使っていた。
……意味が分からない。あれは、勝手に使われるものではない……はず。
もちろん次の瞬間には、札に示された時間はゼロを刻んだ。
「……な、にが」
一期一振さんは、私の視線の先を見て、同じように固まっていた。
……やはり、これはどうやら異常事態らしい。
ふと、手に何か引かれた感じがして、
視線を落とすと妖精さんが私の着ている審神者装束の袖口を引っ張っていた。
「行け、ってこと？」
頷いたので、妖精さんに引っ張られるままに進む。
連れてこられたそこには、一振りの刀が鎮座していた。
違う色合いの装飾もなされているが、その刀は全体的に白い。
この刀は……もしかして……？
「そ、れは……っっ」
後ろで、一期さんの動揺する声が聞こえた。
……刀の名の憶測は確信に変わる。
奇跡を起こして、とそう願うように私はその刀に触れた。
＿＿桜の花びらが散っていく。その中心に立つ人物が、目を開けた。
□
「みかづき、それでいいんですよ。
ときには、おたがいのほんねをぶつけあうのもだいじです」
ね、と問いかけるように岩融のほうに振り向いた。
すると、そうだぞ、と力強く肯定する。
「なんといっても俺と今剣もしたのだからな！
……三日月、お前のその気持ちはな持ってていいものだ」
「たとえ、そののぞみがおまえのわがままだとして、
それをだれがひていできるものですか」
□
ふわりと視界を桜が散る。
ああ、彼に顕現されたときもこうだった。
さて、俺はどんな口上を述べていたのだっけ、と思案する。
「よっ。鶴丸国永だ。俺みたいのが突然来て驚いたか？
……それと、久しぶりだな。いち」
ただ純粋な驚きに彩られていた顔が、泣きそうに歪んだ。
審神者であろう少女が、身を横に引いた。
……行け、ということであろう。
そう勝手に判断させてもらって、一歩彼のほうに踏み出した。
扉のほうに見えた三人にも目配せをして。
・
・
・
「……あなや」
「ほぉ？」
「……さすが、ですね」
鶴丸国永が顕現されたのは三条の三人がついた直後であった。
彼が一期一振のほうへ踏み出すのと同時にこちらへ視線を向けられる。
「三日月」
「みかづき」
同時に今剣と岩融が三日月の名を呼んだ。
「ああ」
三日月宗近も鶴丸国永に続いて一歩を踏み出した。
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ANZU* - とても面白かったです。薬研との今後や加州達が来てからの話なども見てみたいです。 (2023年2月13日 21時) (
レス) @page26 id: ff73ec05c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - 霊華さん» コメントありがとうございます……！私情であまり更新できないのですが、完結できるよう頑張らせていただきます……！！ (2018年9月6日 19時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - とても面白いです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月23日 22時) (レス) id: 0beaa7df7a (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - Sazanami_syoutanさん» コメントありがとうございます……励みになります……！更新のほうも遅いですが、頑張ります……！！ (2018年2月15日 20時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
Sazanami_syoutan(プロフ) - 面白いです!更新楽しみに待ってますね!! (2018年2月15日 1時) (レス) id: 39d69f205d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺろ@IN率低下 | 作成日時：2017年11月20日 22時
