第四十七陣 変化 ページ7
鶴丸が、審神者の部屋に入って、すぐに、どさり、と鈍い音がした。
そこから、少しの沈黙ののち、声がかけられた。
「いち」
その声は何かを耐えるようにひどく苦しげであった。
すぐにふすまを開けて、瞠目する。
黄金色だった瞳は、赤黒く変色し、少し見える肌を黒い蛇のようなものが這っている。
「はやく、……俺が、耐えきれなくなる前にっ、斬ってくれっっ」
その彼の声に、応えて、私は、彼に向って刀を、振り上げ＿＿斬った。
□
「これが、私の知るこの本丸で起きた一連です」
「……」
言葉が出なかった。
何を言うべきか、わからなかった。
「……審神者殿、貴方は、私をどう思いますか？」
「私は……」
どう言ったものか、と思ったその時だった。
……ふと私は異変に気付いた。
「……え」
視線の先には＿＿
・
・
・
……叫びたかった。
違う、と彼に言ってやりたかった。
『違う！！違う！！君は、君はけして悪くない！！！』
その声は、本来届くはず等なかった。
……けれど、『彼ら』は異変に気付いた。
それが、少しだけ、変えた。
本来、起こるはずだった未来を。
□
「一期一振はな、審神者を害そうというつもりはない」
「ならなぜ、あるじさまをつれていくひつようがあるというんですか？」
「……一期一振の、本当の願いに、必要だからだ」
三日月が歯切れ悪くそういった。
……彼の、本当の望み。
審神者を必要とする願いとは？
「いちごひとふりのほんとうののぞみ？」
「ああ。……あいつの、あの時から胸の奥にしまわれてきた望みだ」
「……なんですか、そののぞみとは」
三日月は、一度目をつむって、息を深く吐いた。
顔をあげて、こちらをまっすぐ見つめた。
「……折れる、もしくは刀解されることだ」
「そして、おまえはそれをとめたいのですか？」
なぜ、と目で問う。
三日月は、苦し気に眉根を寄せた。
「……俺の我儘だとわかってる、……一期一振を思ってやるのなら、
その背中を押すべきなのだと、だが、……俺はっ、俺はっ
……共に、生きてほしい……っまた、仲間を失いたくないっっ……」
相変わらず馬鹿な弟だ、と思わず笑みが漏れる。
後ろを見れば、岩融もほほ笑んでいた。
この弟は小さいころからこうだった。
……一番我儘なようで、その実、己の願いを殺してきた。
そんな子が、こういうのなら、兄としてどうすべきか。
「みかづき」
縋るような瞳が、こちらを見つめた。
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ANZU* - とても面白かったです。薬研との今後や加州達が来てからの話なども見てみたいです。 (2023年2月13日 21時) (
レス) @page26 id: ff73ec05c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - 霊華さん» コメントありがとうございます……！私情であまり更新できないのですが、完結できるよう頑張らせていただきます……！！ (2018年9月6日 19時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - とても面白いです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月23日 22時) (レス) id: 0beaa7df7a (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - Sazanami_syoutanさん» コメントありがとうございます……励みになります……！更新のほうも遅いですが、頑張ります……！！ (2018年2月15日 20時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
Sazanami_syoutan(プロフ) - 面白いです!更新楽しみに待ってますね!! (2018年2月15日 1時) (レス) id: 39d69f205d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺろ@IN率低下 | 作成日時：2017年11月20日 22時
