第六十一陣 想い ページ21
「大将が……」
「ああ、これも渡しておく」
「銃兵……？」
「主からの選別だ、さて、行くぞ薬研」
銀色に光る球体を、じっと見つめると懐にしまう。
他の敵はどうする、と問いかけると鶴丸ではない声が答えた。
「こちらは一体殲滅しましたよ」
「いち兄……」
帰ったら少しお説教ですね、と柔らかく長兄がほほ笑む。
「こちらも、終わったぞ」
「はっはっは、じじいも一仕事終えてきたぞ？」
その声に振り向くと、鶯丸と三日月が悠然と歩いてきていた。
「さあ、帰るぞ。俺たちの本丸に」
□
「あるじさま」
「今剣」
「ようやく、帰ってきましたね」
「うん……」
新たに送った第二部隊は、薬研を無事に連れ帰ってきた。
現在は、薬研の手入れをしている。
「……あるじさまは、やげんをどうおもってるんですか？」
「……みんなには秘密にしてくれる？」
「あるじさまがのぞむなら」
その返事を聞いて、私は上手くまとまらない思いを口にしていく。
最初、私はどう思っていたのか。
「最初は、命を助けられたこと、あんまり嬉しくなかった」
「そうなんですか？」
「……うん、あんまり生きたくないと思ってたの」
今剣は口を挟まず、私の言葉を待っている。
「でも、薬研に助けられてそのあとご飯食べて、お風呂入って……そのとき、ようやく自分が生きてるって思った。気が付いたら少し手が震えてた。ほんとは、死ぬこと怖かったんだって気づいた」
昨日のように思い出せる。
怖いときは、その時よりもそのあとのほうが怖いってより実感するんだなって思った。
「その時、薬研がいてくれてよかったっておもった。そのあとも、生活する上で助けてくれたり、審神者の業務とか色々助けられたりした。多分、私薬研がいなかったら、心が折れてたかもしれない」
『何かあったら言ってくれよ』
『大将、俺っちに遠慮なんかしなくていいんだからな』
いつもいつも、あなたはいつだって私を案じてくれた。
私は、その優しさに縋って、あなたが消えたらもう耐えられないって思ってた。
「だから、失うのが怖かった。縋って、頼って、彼がいなくなったらもう、耐えられないって思ってた。いなくならないと思ってた人たちが、いなくなって、絶対なんてないって思い知らされたから」
でも、もう無理だった。
だって、知らず知らず、私は心の中にあなたのスペースを作ってしまってたから。
「でも、特別って知らないうちになるものだって思い知らされた」
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ANZU* - とても面白かったです。薬研との今後や加州達が来てからの話なども見てみたいです。 (2023年2月13日 21時) (
レス) @page26 id: ff73ec05c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - 霊華さん» コメントありがとうございます……！私情であまり更新できないのですが、完結できるよう頑張らせていただきます……！！ (2018年9月6日 19時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - とても面白いです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月23日 22時) (レス) id: 0beaa7df7a (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - Sazanami_syoutanさん» コメントありがとうございます……励みになります……！更新のほうも遅いですが、頑張ります……！！ (2018年2月15日 20時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
Sazanami_syoutan(プロフ) - 面白いです!更新楽しみに待ってますね!! (2018年2月15日 1時) (レス) id: 39d69f205d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺろ@IN率低下 | 作成日時：2017年11月20日 22時
