第五十一陣 褒め ページ11
薬研が何も言わずにいてくれたことに感謝しつつ、
私は顔をうつむかせた。……見ていたことが相手に知られていたなんて恥ずかしすぎる。
すると、ふいに隣から思わず漏れてしまったような声が聞こえて、顔を上げる。
「……なんですか」
「いや、なんでもないさ。……こればかりは、俺の言うべきことじゃないからな。
それにしても、若いっていいな。俺も大包平も、もうじじいだからな」
で、出ました、大包平。……それにしても、大包平、って
鶯丸さんが言ってるの、初めて聞くような……？
「なんだ？」
「いえ、……鶯丸さんの口から、大包平、という名を聞いたのは初めてな気がして」
「そうだな、……なるべく、言わないように心がけていたからな」
思わず目を瞬かせる。意味が分からない。
多分、不思議そうな表情をしていたであろう私に、彼は笑った。
「こんな本丸にあいつが来てほしくなかったからな」
……おっっっも！！
うん、まあ、大切なことですけれどね！急に空気が重くなったんですけど！！？
「………今は、どう思ってますか？」
我ながら、ナイスな切り返しだと思いました。
ただ、ここで、今も思ってるって言われたら審神者、泣いて退室する所存。
そんな不安を抱えながら、彼の顔を見る、……美しい笑みを浮かべていた。
「もちろん。……あいつと、この本丸で茶を飲みたいと思うほど、
いい本丸だと思っている。……お前のおかげだ、審神者」
これは、つまり、その……認めてるってことだよね？？？
えっ、ちょっとまって、顔が熱くなってる気がする。
「……」
違う、最近、褒められてなかったから、こんなに照れてるだけだから。
普段だったら、こんな、これだけで、ここまで照れたりしないから。
両手で顔を覆って、顔の赤みをどうごまかそうかと思っていると、着物の袖が引かれる。
手の隙間から、誰かとみてみるとそこには薬研がいた。
しかも、少し面白くなさそうな表情をしている。
「大将。……俺っちだって、常々思ってたんだからな」
「へ」
薬研から告げられた言葉に思わず、呆けた声を出した。
えっ、少し待って、心の準備ができていない。
「本当に、あんたが大将で良かった」
「……っ、ばか、なんでそういうこというの、……泣きそう」
思わず、素が出るくらいには、心が揺れてる。
「がははは、急に主を褒める会に変更されたな！」
「よーし、ぼくもほめます！！」
……このあと、みんなに褒め倒されたことだけ報告します。
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ANZU* - とても面白かったです。薬研との今後や加州達が来てからの話なども見てみたいです。 (2023年2月13日 21時) (
レス) @page26 id: ff73ec05c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - 霊華さん» コメントありがとうございます……！私情であまり更新できないのですが、完結できるよう頑張らせていただきます……！！ (2018年9月6日 19時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - とても面白いです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月23日 22時) (レス) id: 0beaa7df7a (このIDを非表示/違反報告)
ぺろ@IN率低下(プロフ) - Sazanami_syoutanさん» コメントありがとうございます……励みになります……！更新のほうも遅いですが、頑張ります……！！ (2018年2月15日 20時) (レス) id: df7989d6de (このIDを非表示/違反報告)
Sazanami_syoutan(プロフ) - 面白いです!更新楽しみに待ってますね!! (2018年2月15日 1時) (レス) id: 39d69f205d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺろ@IN率低下 | 作成日時：2017年11月20日 22時
