恋愛体質な俺 4

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紫side


「濱田ー、休憩行ってきていいぞ！」



先輩の了承を得て
財布と携帯を持った





「行ってきます」






スーツ姿のまま会社を出て

空を見上げる





「うわ、雨降りそ……」




そういった直後に降り出した雨





それも今では大雨へと変わった






「俺だけやん傘持ってへん……」




俺の目の前を駆け抜けた傘を持ってない人




見間違えるはずない






4年経った今でも
忘れられない気持ちが溢れ出す






「あきっ……」





名前を呼び終わる前に消えようとする後ろ姿



「ちょ、え!?
待って、待ってって！！」




いろんな人が叫んでる俺を見てる





傘さしてへんからか





結構走って見えかけた背中






抱きしめたくても抱きしめられなくて





腕をぎゅっと握る








「やっと…」



言葉にしても聞こえてない





「あきとっ！」





泣かんでや、そんな悲しそうな顔




言葉をたくさん紡ぐ


けれど華麗にかわされる





「濱ちゃんっ……」



振り返った照史の顔は
ボロボロと涙をこぼしていた




「照史っ、泣いて…うわっ」





飛び込んできた小さな体




震えてる肩が余計に小さく見せる







ここで俺が抱きしめてええの？
照史にはまだ誰か隣で笑ってるやつが






きっとおるんやろなぁ。





「好きやで……」





どうせ届かへんねん





だったら、思いぐらい伝えさせてや





もう、照史の面影を探すことやめるから









「俺っ……濱ちゃっ……好きやったっ……！！」




「なんで、泣くねん……」






なんで、俺まで泣きそうなんや




「ごめん、ごめん濱ちゃん」






「照史は、今でも俺の事好きなん」




雨が弱まった気がした





ずぶ濡れの二人は

他から見れば、変な奴ら






けど俺ら二人は



今幸せになりかけてるんや






「好き、濱ちゃんが忘れられへんかった…」





その言葉だけでうれしいねん。

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