【twst】私はただの比較対象

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「やぁ、Aくん！久しぶりだね！」


『ルーク先輩』





副寮長会議が開かれる空き教室に行くと、既にルーク先輩は座っていた。


ルーク先輩とはよく話す間柄。
同じ部活ってのもあるけど何より、




『この間のヴィル様のドラマやばかったくないですか！？』



そう。推しを語れる。




ルーク先輩は私のヴィル様についてのマシンガントークを一言一句聞き逃さず飽きることも無く最後まで笑顔で聞いてくれる最高の先輩なのだ。


まぁルーク先輩自身はネージュガチ勢なのだけど…。


だけど、観察力のあるルーク先輩のお話はとても参考になる。







「あぁ、いつも通り素晴らしかったさ！
ヴィルの場面ごとに移り代わっていく表情、セリフの一言一言もこちらが感情移入してしまうほどに惹かれるものだった！」


『分かります！！
もう最後のシーンなんて私涙が止まらなくて…！』




勿論盛り上がった。

しかもこの場には私とルーク先輩の2人だけだったから尚更だ。






「………おい」





突然、すごく嫌な声が聞こえた。

教室に入ってきたコイツのせいで、私の上がりきっていたテンションが急に下がった。




「お前、でかい声で話す事ができるんだな」


『………。』


「やぁジャミルくん！君もこっちに座りたまえ！」





そう。ジャミル・バイパー


実はコイツも私の婚約者候補だった。




疑問に思うかもしれない。
なんで大富豪のご子息のカリムくんじゃなくて従者のジャミルくんになるのかって。


それは私も思う。婚約者のどうのこうのは全て親が決めている。だから実際のことは私にもよくわかんない。

でも恐らく両親はジャミルくんの能力を見越してそう判断したのだと予想できる。







『………さいあく』


「それはこっちのセリフだ」





ほんとに会いたくなかった。

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