【梵天】私の婚活、邪魔すんな！

16(春千夜side) ページ16

春「起きろーーー」


かれこれ1時間半は運転していた。
途中からこいつ、静かになったなと思ったら爆睡していやがる。

軽く肩を揺さぶったらゆっくり目を開けた。



『あっ、ごめん。寝てた』

春「着いたぞ」

『ほんと！？』


Aは急いで起き上がって車を開けた。


『うわぁ〜凄い！懐かしい！！』

春「だろ」


ここは水族館。
そんで、俺とこいつが初めて話した場所だ。

てかAも覚えてたことに異様に安心した自分がいる。もし忘れてたら薬やってんわ。これは。



早速中に入り、入場チケットを買った。


『春千夜覚えてる？
私らここで初めて仲良くなったよね』

春「あー、何となく覚えてら」


本当は"なんとなく"ってもんじゃねぇ。つーか、覚えてなかったらここに連れてきてねぇだろ。




────────────────────────
〜過去編〜







『ねぇキミ、1人ならAと一緒に回らない？』


小5の夏だった。

校外学習の時水族館を自由に見て回ってもいい時間があった。


だけど俺には一緒に回る友達はいなかったから1人でいたらこいつに話しかけられた。

何日か前に転校してきたばかりの榊巻Aだった。


春「友達いねぇの？」

『うん、いないよ。だってA、またすぐに別の学校に移っちゃうから友達いないの』


父親の仕事の関係で各地、色んな学校に転校していたらしい。だから仲がいい友達ってのが1人もいなかった。




春「ふーん。まぁいいよ」

『やった！ねぇ名前は？』

春「春千夜。三途春千夜。お前は？」

『榊巻A！ありがとう、春ちゃん』

春「いーよ」



それからAと色んな魚を見て回った。
こんな俺と一緒にいても楽しくないはずなのに、こいつはめちゃくちゃ笑ってて楽しそうだった。

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