きみを好きになって～S・O～４ (ページ6)

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あんまり早くても帰ってないだろうと思って、遅めに行った智くんのマンション。

合鍵はあるけど、インターホンを押す。

でも智くんが出ることは無くて・・・。

いつもなら部屋に入って待っているけど、こんな状態で勝手に入り込むことは出来なくて入口近くで待っていた。

人が通るたびに不審者に見られないよう移動したりして、寒さも加わってなかなか大変だ。

でも今日は、話を聞いてもらおうって決めてきたから。

日付が替わるまでは待っていようって心を強く持つようにした。

マンションの前にタクシーが停まった。

降りて来たのは、智くん。

「ねぇ、泊めてよ。」

続いて降りようとするのは、長い髪の女性・・・。

「やだ。
悪酔いしてる女なんか泊めたくない。」

「さとしぃ・・・。」

聞きたくない会話を聞かされて、心が痛い。

やっぱりそうなんだ・・・もう私なんか忘れたんだね・・・。

知り合い以上の関係を思わせる会話に、切なさがこみ上げて来る。

「いいから、早く帰れ。
運転手さん、行ってください。」

女性が中に押し込まれて、タクシーのドアが閉まると同時に走り出して行った。

智くんに気付かれないように帰るつもりで、歩き出した途端

「A！？」

智くんの声が響いて思わず立ち止まってしまった。

振り向きもしないでいると、バタバタと走ってくる足音。

「どうして、こんなとこに？」

智くんの顔が見られなくて、俯いたまま

「メールさえ見てくれないのね・・・。
そっか、新しい彼女がいて、私なんかいらないんだもの。
これ、返します。」

バックから取り出した智くんの部屋の合鍵を、彼に押し付けた。

「えっ？」

受け取りそこねた鍵が道路に落ちて、鈍い音がした。