きみを好きになって～S・O～４ (ページ49)

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すっかり暗くなってしまった道をふたりで歩く。

まだ夜は少し寒くて、散歩の途中だった柚木に、すっかりおいらの物になっていた青のマフラーを巻いて伊達メガネをかけさせた。

「ふたりで歩くの、初めて・・・。」

Aの小さいつぶやきに

「さっき手ぇ繋いだじゃん。」

って冗談っぽく言ってみせたけど、心ん中じゃ恋人なのに一緒に歩いたことがないって事実に後悔してた。

「あれは・・・違うよ。
ほとんど、早歩きっていうか・・・走ってたもの。」

「手ぇ繋ぐ？」

「ううん。」

Aは何かを考えてるみたいで、俯いた顔を上げようとしない。

人とすれ違うたびにスッとおいらから離れていく。

誰かに見られんの気にしてんのかな。

「大丈夫だよ。かえってその方がヘン。」

手を取って恋人繋ぎってやつをやってみたら、ますます下を向いてしまった。

Aの新居は、ホントにあの公園に近くてびっくり。

駅にも近いらしくて、チャリを使わなくてもいいみたい。

部屋はひとり暮らしには充分なぐらいで、ベランダから公園が見えた。

「いいね、ここ。」

「ん・・・。
でも、さっきマンションの部屋に入ったら・・・やっぱりあの家に愛着があって・・・。ついこの前まで自分の家だったのに、自由に入れないってことにちょっとへこんだの・・・。
色々思い出あるし・・・。」

んー、そうだよなぁ・・・ずっと住んでた実家がなくなるのは、へンな気持ちだろうな。
これから、Aの実家は親が住んでる田舎ってことか・・・。

「・・・あそこに住む？」

口から出たのは、無意識。