きみを好きになって～S・O～４ (ページ48)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:123,990 hit

198 ページ48

ハッとした時にはもう遅かった。

慌てて押さえたけど間に合わなくて、それは智くんの手のなかに・・・。

恥ずかしくって顔をそむけると

「・・・ずっと・・・Aの胸に・・・いたんだ。」

聞こえたのは、智くんの優しい声。

「こっち向いて。」

いや、そんなこと言われても、無理。

「A？」

「バカ・・・みたいでしょ？
自分から距離を置こうって・・・言っておきながら・・・智くんからのプレゼントをずっと身につけてるの。
未練たっぷりで・・・おかしいでしょ・・・。」

箱に入れて仕舞い込むことも考えたけど、出来なかったの・・・。

自虐的に言えば智くんから何を言われても大丈夫って、自分から壁を作ろうとしたんだけど。

「おかしくない。」

「別れようって言えなくて・・・距離を置こうなんて曖昧な言い方して・・・。
未練ありありで・・・。もう・・・やだ・・・こんなの・・・。」

「A。」

智くんの腕がまた抱きしめてきた。

「おいらだって、別れようって言われてないからって・・・ずっと認めてなかった。
距離を置いてるだけって・・・ずっと言い聞かせてさ。
未練あるよぉ。
だから、もうやめよ。
いい経験だったじゃん。」

「・・・。」

なんで素直にハイって言えないんだろう。

「・・・あーもうこんな時間。
さ、休憩しよ。」

返事に困っている私を見たのか、突然話を変えた智くん。

「ほら、行くよ。」

「え・・・？」

行くって・・・どこに？

思わず智くんを見ると、怒ってたはずの彼が優しい目で微笑んでる。

「Aんち。
どんなとこに住んでんのか確かめに行く。」