きみを好きになって～S・O～４ (ページ43)

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「まぁ、それは今はいいや。」

智くんは初めて聞く低い声で、本当に怒っているんだって苦しくなる。

「引っ越ししたって・・・知った時、結婚するから田舎に帰ったんじゃないかって、思った。
結婚・・・するの？」

「・・・しない。
ホテルでばったり会った時・・・断った後だったの。」

頑なに掛けようとしてた心の鍵は、智くんがもぎ取って壊して捨ててしまった感じで、素直に言葉が出てきた。

「そう・・・だったの？
でも・・・次の日メールしたけど、返事来なくて・・・。
まぁ、その前においらがメール無視しちゃってるから、あんま言えねぇけど・・・。
そしたら、実家にいるってメールが来た。
・・・もしかして、見合いの相手と・・・実家に帰ったのかもって思ったりした。」

だんだん智くんの声が柔らかくなってきて、少しホッとする。

「あれは・・・ホテルからの帰りに、祖母が倒れたって連絡があって・・・。
夜中のうちに姉と実家に帰ったの。
結局・・・お葬式になっちゃって・・・。
正直、智くんのこと考える余裕がなかった。」

「えっ・・・。
そんなことあったなんて・・・なんで・・・言ってくんねぇの？」

また低くなる声。

怖いよ・・・智くん。

「だって・・・スレンダーな女性と腕組んでホテルに入って来たの、見ちゃって、なんかギクシャクしてる時に・・・そんなこと言えないよ。」

ムッと口を尖らす智くん。

たった２ヶ月近く離れてただけなのに、彼の癖が懐かしい。

「距離を置こうって・・・どういうこと？
別れたかったの？
浮気…してると思った？
急にそんなこと言い出してさ、理由もロクに言わねぇでさ、納得できると思う？」

私でも、出来ないけど・・・。

でも、こんな性格だから仕方ないって諦めちゃうよ。私なら、ね・・・。

「ごめんなさい・・・。」