きみを好きになって～S・O～４ (ページ38)

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ゆっくり歩いてベンチに座った。

満開の桜。

花見をしながら歩いている人がいたり、子供の声も聞こえて春本番だなって思う。

久しぶりのその場所は一年前と変わってなくて、あの時の自分を鮮明に思い出した。

好きだって言われて、信じきれないまま会える日をじっと待ってた。

智くんに送るつもりで開花した桜を携帯で撮ったけど、自分からメールをすることはできなくてそのままにしてた。

１年前の気持ちと変わるどころか、素の智くんを知れば知るほど好きになってる。

「そんなに気になるんならAさんも少し痩せようよ。」

ずっと気にしているコンプレックスの体型も、智くんが言ってたように少し痩せることが出来た。

でもそれは健康的に痩せたわけでも、ダイエットをしたわけでもなくて、ただ食べられなくなっただけ。

智くんが知ったら怒られるかも・・・。

空を見上げると、満開の桜色と空の青が飛び込んできて、苦しくなるほどの感動を覚える。

智くん、桜を見たかな？
見せたいな。
一緒に見られないんなら、ここの桜を見てほしい。

智くんへの気持ちに背中を押されるように、携帯を出して桜と空を撮った。

智くんのアドレスで写真だけでメールを作成したけど、送信出来ない・・・。

メールもしないなんて大口叩いたくせに、こうやって突然メールを送るのって自分勝手なだけ。

結局智くんの気持ちなんて考えないで、自分の気持ちを彼に押し付けただけなのかも・・・。

私が逆の立場だったら、ろくに話もしないまま一方的に言われたのは納得出来ないな。

「！・・・」

そういえば・・・。

数年前の別れを思い出した。

あの時は逆の立場で・・・私が一方的に言われたんだっけ・・・。

「好きなひとが出来た。
Aのネガティブな話、聞いてると疲れるよ。」