きみを好きになって～S・O～４ (ページ37)

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テレビのニュースで桜の開花を知った。

去年は毎日のように公園に通って自分の目で開花を確かめたけど、今年はそんな活力は残っていない。

慌ただしく引っ越してまだダンボールが部屋に残っているから、時間があれば片づけに費やしてるけど、なんせやる気が出ない。

２LDKっていう部屋がこれからの城。

引っ越しが決まって実際引っ越しするまでは

「あー時間がない、急がなきゃ・・・。」

って思いで準備をしていたから、他の感情は後回しにしていた。

でも、こうして新居に移って時間に追われることがなくなると、色んな思いが湧き上ってくる。

学生時代から住んでた実家。

両親が田舎に引っ越して、姉が結婚するまでふたり暮らしをしていた家。

初めてひとり暮らしをして、その広さに寂しさを覚えた家。

智くんが熱にうなされた私を送ってくれた・・・。

智くんが好きだって告白してくれた・・・。

何度も会いに来てくれた・・・。

何度も一緒に眠った・・・。

家族だけじゃなくて、智くんとの思い出も沢山ある家だったのに・・・。

ずっと住んでいたいって言ったら、ずっといられたのかな・・・。

でも、智くんがアトリエに来られなくなるよね・・・

ばかだなぁ。

自分から離れたのに、会いたいって気持ちはどんどん強くなってる。

好きだって気持ちを心の奥にしまいこもうとしてるのに、鍵がかけられない・・・。

毎日泣いてるのに涙は枯れない。

智くんを想うたび、好きだって心が叫んでる。

彼らが出ているテレビも苦しくて見られなくなって。

CMでリーダーの声が聞こえると思わず画面を見てしまって、姿を見ると苦しくてテレビを消してしまう。

いつまで続くんだろう・・・。