きみを好きになって～S・O～４ (ページ30)

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泣かないつもりだった。

彼氏でもない男性の前で泣くってどう？

それも相手はアイドルって・・・。

でもさっき、外で櫻井くんを見て泣きそうになってから、涙腺が緩くなってしまったみたい。

智くんとのことを応援してくれてたひとだから。

「この前、言ったと思うんですけど・・・。
手遅れになる前に連絡してって。」

智くんに怒られたことを思い出したのか、櫻井くんは機嫌が悪そう。

顔を上げた途端、涙がこぼれてしまった。

隣りの二宮くんが嫌そうな顔をしたけど、仕方ない。

その後も櫻井くんが智くんに怒られたっていうから申し訳なくて謝ったけど、一体このふたりは何しに来たんだろう？

「結婚、するんですか？」

突然の、二宮くんからの直球な質問。

するって言ったら、諦めて帰ってくれるかしら・・・。

「嘘はやめましょうよ。
時間の無駄だから。
あなたの考えてることは、何となくわかってますから。」

このひとには嘘は通用しないんだろうって思わせる二宮くんの強い眼差し。

だから一番会いたくないひと。

「・・・心が・・・動いたのは事実ですけど・・・。
結婚は・・・しません。」

結局本当のことを言うしかないのよね・・・。

立て続けの質問にも何て答えたらいいのか迷ってしまって、だんだん感情を抑えきれなくなっている。

「彼に・・・結婚願望がないことは、初めから知っていました。
でも・・・好きだったら・・・。
いつか・・・こうなることは、わかってたんです。」

智くんに言えないことを、このふたりにぶつけようとしていた。