きみを好きになって～S・O～４ (ページ29)

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「この前、言ったと思うんですけど・・・。
手遅れになる前に連絡してって。」

ちょっと機嫌の悪そうな言い方をしてみると、八ッと顔を上げた柚木さんの頬に涙が流れ落ちた。

え・・・涙はずるいよ・・・。

「連絡先を聞いたことが智くんにバレて、怒られたんですよ。
あなたからの連絡もないんじゃぁ、なんか怒られ損なんですけど・・・。」

「・・・ごめんなさい。」

「結婚、するんですか？」

ニノが聞いた。

そうだよ、問題はそこ。

このひとの結婚願望から、こじれた話なんだ。

もちろん、それが悪いってことじゃない。

誰にだって多からず少なからずあるものだからさ。

「・・・。」

「嘘はやめましょうよ。
時間の無駄だから。
あなたの考えてることは、何となくわかってますから。」

「え？そうなの？」

おれにはわかんないけど・・・。

「・・・心が・・・動いたのは事実ですけど・・・。
結婚は・・・しません。」

「じゃぁ、何で・・・距離を置こうなんて言ったんです？」

「そうそう。
何で別れようって言わなかったんですか？」

おれとニノでたたみ掛けるように聞いて、まるで尋問しているみたい。

智くんが聞きたかったことを聞いて、彼だけじゃなくおれたちが納得する答えが欲しかったんだ。

「彼に・・・結婚願望がないことは、初めから知っていました。
でも・・・好きだったら・・・。
いつか・・・こうなることは、わかってたんです。」

結婚願望があるAさんと、テレビとかでも結婚願望はないって言ってた智くん。

最初から無理だった？