きみを好きになって～S・O～４ (ページ17)

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思い違い？

思わず顔を上げて智くんを見ると、悲しそうな、切なそうな、何ともいえない表情をしている。

「いつもその手の質問には・・・しなくてもいいとか、向いてないとか・・・後ろ向きなことしか言ってないけど・・・。
絶対しないなんて・・・決めてるわけじゃない。
だから」

「駄目だよ！」

智くんが言いかけた言葉を自分の言葉で遮った。

「今、自分がどんな顔してるかわかってる？
すごく辛そうだよ。
・・・もう、聞きたくない。」

「A？」

智くんが言おうとしたことがわかってしまって、自分の言うべきことが決まった、と思う。

「私たち・・・少し距離を・・・置こう。」

「え・・・？」

「あのホテルのひととか・・・タクシーで一緒に帰って来たひととか・・・どうしたって、智くんの周りにはきれいな女性がいるんだもの。」

「あれは・・・。」

“結婚”ではなくあくまで女性関係だって思わせたい。

演技なんて出来ないけど、智くんの前で恥ずかしいくらいの演技力だけど。

「電話もメールもしない・・・。
ひとりになって・・・考えたい。
智くんも時間があったら、考えてみて・・・。」

出来るだけ淡々と。

智くんの目を見るとバレてしまうかもしれないけど、見ないわけにもいかない。

なんたって演技力には定評があるひとだから。