願いひとつ２

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その夜はなかなか眠れなくて、明け方にウトウトしただけでアラームが鳴った。


起き上がると頭がズキズキと痛む。


大きな溜息をついてベットを出て、顔を洗いに行く。


何かするたび痛むのを我慢して、カフェインを取れば治るかもってインスタントコーヒーを入れた。


それとパンを少し齧って、一応薬も飲んだ。


メイクをするのも面倒だったけど、会社に行くんだから仕方ない。


簡単に済ませて家を出た。


外の空気を吸うと少し頭がスッキリしてきたから、もう大丈夫かな。









と思ったのはその時だけで。


計算ミスはするし、書類の誤字は見つかるし、頭がボーっとして働かない。


最悪だ。


「何か顔色悪いし、早退したら？」


お昼もほとんど食べなかった私に涼子が言う。


風邪をひいたわけじゃないのに、それに頭痛薬も飲んだし。


頭が働かないのは、頭の中が大野さんのことでいっぱいだからだって自分でわかってる。


恋愛ごとで仕事にならないなんて、何年社会人やってんだって話だけどね。


昨日の今日じゃ仕方ないかって思う。


「・・・そうしようかな。」


このまま会社にいたって、今日はまともな仕事なんて無理なような気がする。


そうと決めたらそのまま上司に体調不良で早退すると申し出て、さっさと机の上を片づけた。


あっという間に外に出ると駅に向かったけど、そのまま帰る気にはならなくて乗り換え駅で改札を出た。


歩いて着いたのは、大野さんと最後に会った場所。


金曜日の午後なのに、誰もいない。


夜ならまだしも、昼間まで・・・


でも今の自分には楽な場所。


幾つかあるベンチに座って、微かに残る頭の痛みを逃そうと目を閉じた。


雑踏の音が遠くに聞こえる。


こんなとこに来て、未練たらたら・・・


剛くんから話聞いちゃったら、益々会いたくなった。


大野さん・・・元気かなぁ・・・


その時、微かに足音が聞こえた。


誰か入って来たのかなって目を開けたら。


今会いたい人が目を見開いて立っていた。

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