検索窓
今日:15 hit、昨日:1 hit、合計:27,248 hit

61 ページ11

仕事だけはちゃんとやらないと、って頑張ったつもり。


別れたばかりなのに、また失恋しかかってるなんて涼子にさえ知られたくなくて、出勤から退社までの時間は気を張って笑顔を張り付けた。


あの日はどうやって帰ったのか覚えていない。


確かに目が合ったと思う。


大野さん、目を見開いてたもの。


女の人が一緒だったから行っちゃったの?
その人は・・・彼女なの?
剛くんの部屋で私が会った人?


大野さんに気を取られて、女性の方に意識が向かなかった。


ちゃんと見れば良かったって後悔してる。


そんなことばかり考えて週末を迎えた。


迎えたって言っても私の生活が変わるものでもない。


でも、夜になると今頃あの店に大野さんが来てるかもしれない、みんなと仲良く飲んでいるのかもって思うと何故か気持ちが沈んでしまっていた。


何をする気にもなれない。


これはかなり重症・・・かな。


まだ何も始まってないのに。


完全な私の片想いなのに。


”待ってて”って言葉はまだ有効なんだろうか。


大野さんは何で何も言ってくれないんだろう。


彼女とやり直すことにした、とか。


あの言葉は忘れて、とか。


どっちつかずの今より、そのほうがよっぽどいい。


真っ暗な部屋で、ずっとそんなことを考えていた。







電話の音がして、目を開けた。


相変わらず真っ暗な部屋。


いつの間にかウトウトしていたらしく、頭を軽く振ってスマホを手に取った。


画面の”二宮さん”って名前を見て、大野さんとは違った意味でドキッとした。


「・・・はい。」


”5”に行ったはずの二宮さんが、何で?


電話に出た自分の声が震えているのに気が付いた。


「何してたの?」


電話の向こうは静かだった。


時間を確かめるとまだ今日は終わっていない。


もうお開きになって帰ったんだろうか、それとも店の2階?


誰の声もしないってことは・・・?


「寝てた・・・みたいで・・・。」

「もう?
早くない?」

「・・・やることもないし・・・。」

「やさぐれてるね。」

「それより何か用ですか?」

「大野さんのこと、聞きたいんじゃないかと思って。」


大野さんの名前を聞いた途端、胸が苦しくなる。


いつのまに、こんなに好きになってたんだろう。

62→←60



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
122人がお気に入り
設定タグ:大野智   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Fg(プロフ) - ともさん» ともさん、コメントありがとうございます。やっと向き合うことが出来ました。後はひたすら甘く・・・したいです。 (2021年9月22日 23時) (レス) @page29 id: b0b3b50387 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 良かった…やーっと誤解だと智くんに伝わった。 (2021年9月22日 22時) (レス) @page29 id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
Fg(プロフ) - ともさん» 基本智くんは無口ですが、ここの彼は2人だと喋ってくれます。 (2021年7月28日 22時) (レス) id: b0b3b50387 (このIDを非表示/違反報告)
Fg(プロフ) - ともさん» ともさん、コメントありがとうございます。 (2021年7月28日 22時) (レス) id: b0b3b50387 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 智くんの大きな勘違い…口数が少ないから余計に??? (2021年7月28日 12時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Fg | 作成日時:2021年6月8日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。