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結局年末に会ったのは、クリスマスのあとちょっとだけ。
もちろん休みなんてないから、智くんの家で智くんの好きなシチューを作って待ってるっていう、特別でも何でもない日。
それでも一応クリスマスプレゼントとして、男性用のネックレスを用意した。
以前、マフラーの代わりになるものが欲しいって言ってたから、身につけるものがいいのかなって思って。
それでも冬になってからあの青いマフラーも使っているみたい。
「ね、このマフラーずっと使っていい？」
もう智くんの物みたいだから、あげるねって言ったら
「ううん、Aのマフラーだから使いてぇの。」
ってどういう意味かしら。
智くんからのプレゼントもネックレス。
自分でそんなの買いに行くタイプじゃないから、きっと誰かに頼んだんじゃないかなって思うけど、それでも私のために考えてくれたってことは単純に嬉しい。
テレビの中のリーダーを見て元気な姿を確認して、時々かかってくる時間を度外視した電話におやすみを言って、朝に頑張ってのひとことを言う。
リーダーの胸元に見覚えのあるネックレスを見つけた時は、自分がこんなに幸せでいいのかって涙が出てしまった。
大晦日まで忙しい日が続くのはわかっていたし、お正月は家族旅行で海外に行くって言っていたから、私も一足先に両親が住む田舎に向かった。
年に一度の連休のお正月に会えないのは寂しいけど、この歳で寂しいなんて言えなくて我慢した。
どっちにしても私だって田舎に帰らなきゃいけないんだからって、理由をつけて。
ひさしぶりの両親と祖母に囲まれて過ごしていると、東京での出来事は嘘のように思えてくる。
新年の挨拶を直接言いたかったけど、生放送で数分前まで画面に映っていたから絶対無理。
家族の誰ひとりとして私の彼氏がテレビに出てるなんて思わないだろうな。
なにより彼氏がいるなんて思ってないかも。
寝る前にメールを送った時に、携帯の充電器を持ってこなかったことに気付いたけど、最近は智くんぐらいしか連絡しないからいいかってそのままにしちゃったんだ。
『あけましておめでとう。
智くんがずっと幸せでいられますように。』
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作者名：Fg | 作成日時：2014年9月19日 16時
