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櫻井くんから何度かの着信があった。
そしてメール。
『連絡ください。
このままでは昔の智くんに戻ってしまうから。
ちゃんと会って話してほしい。』
智くんは愛想をつかして、もう次の女性に向かっているのかもしれない。
アイドルとの恋だから、ちゃんと別れ話をして後腐れないようにしろってことかな。
マスコミにでも暴露されるとでも思ってるのかしら・・・。
ああ、合鍵返さないといけないな。
その前に・・・。
家族会議があった。
「結婚してこっちで暮らす気はないか？」
いきなりその話？
「お父さんたち、もう東京に戻るつもりはないから。Aがこっちに来るならあのマンション、売ろうと思うんだ。」
「長谷部さんとどうなっているの？」
両親と姉夫婦、みんなの期待度が高いのがわかる。
今が言うべき時だと思って
「長谷部さんとのことは、お断りしたわ。」
「えーどうして？
告別式に来てくれた時会ったけど、いいひとそうじゃない？」
両親から話を聞いたらしいお姉ちゃんが口を出してきた。
「好きなひとがいるのよ。
長谷部さんとのこと知られちゃって、ぎくしゃくしちゃってるんだ・・・。」
「結婚する気なの？」
「・・・まだわからないよ。
そんなに時間がたってないから。」
「長谷部さんもったいないわよ。
ねえ、お父さん。」
お母さんに同意を求められたお父さんだけど、黙ったままだ。
「いいひとだとか、もったいないとかだけで結婚するのって違うと思うよ。
私の気持ちはそこにないから。
そんなの長谷部さんに失礼でしょ？」
「そりゃそうだけど・・・。」
「おねえちゃんなら結婚する？」
当事者じゃないから、色々言えるんだ。
「あー、しないかな。」
「ということで、この話はおしまいにして。」
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作者名：Fg | 作成日時：2014年9月19日 16時
